遊風の養生日記Ⅱ

術伝流の愉癒庵遊風(颶風颯雷電)が、鍼灸操体食養はじめ養生について書いていきます

『医者の私が、がん検診を受けない9つの理由』

医者の私が、がん検診を受けない9つの理由

医者の私が、がん検診を受けない9つの理由

ーーー 以下、アマゾンの内容紹介です ーーー
【「受けなさい」と勧める人への質問】
受けた人のほうが受けない人より早死にするのはなぜ?

●学術的にがん検診の有効性を完全否定した、初めての本
「妻に勧められ検診を受けたら、早期のがんが見つかり手術・完治した」……今年伝えられた有名芸能人のニュースをはじめ、「がん検診は受けたほうがいい」は
国民の共通認識になっています。しかし、本当にそうなのでしょうか?
著者は、「がん検診が寿命を延ばす」というデータは世界中のどこにもないことを明らかにします。そればかりか、たとえば肺がん検診の場合、
信頼性のおける4つの世界的学術調査のすべてで、「がん検診は、受けた人のほうが受けない人よりも早死にする」というデータが出ているのです。

学術的&論理的にあなたを納得させる、9つの理由
1.いくら受けても余命は延びない
2.推進派の「科学的根拠」は怪しすぎる
3.検診を勧める世論は捻じ曲げられている
4.レントゲン検査には明らかな発がん性がある
5.受けると「過剰診断」の被害に遭う
6.がんの運命は最初から決まっている
7.定期健診は利益より不利益が圧倒的に大きい
8.早く見つけても遅く見つけても効く薬がない
9.がんは自分の努力で予防できる

内容(「BOOK」データベースより)
がん検診という「オーバー・ダイアグノーシス(過剰診断)」。学術的&論理的にあなたを納得させる、9つの理由。

著者について
岡田正彦 ◎ おかだ・まさひこ
1946年、京都府生まれ。新潟大学医学部卒業。新潟大学名誉教授。医学博士。
専門は予防医療学で、遺伝子や細胞を対象にした基礎実験からビッグデータの統計解析まで幅広い研究を行なってきた。
本書では、徹底して医学論文・学術データにもとづきながら、がん検診の「無効性」「欺瞞性」「危険性」を明らかにする。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
岡田/正彦
1946年、京都府生まれ。新潟大学医学部卒業。新潟大学名誉教授。医学博士。専門は予防医療学で、遺伝子や細胞を対象にした基礎実験からビッグデータの統計解析まで幅広い研究を行なってきた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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 なかなか、読み応えがありました。内容的には、アマゾンの紹介文の通りという感じでした。
 
 それ以上に私が感じたのは、エビデンス論文のサンプル数の少なさです(追記:岡田先生も、p147〜148で、…調査対象とした患者数が極端に少ない…この数字を見ただけで、どの調査も著しく信頼性を欠いていることが分かる…と書いています)。
 p148ページに胃がん治療のエビデンスのサンプル数が載っていました。3つの論文で延命効果が証明されていると胃がん治療ガイドラインには書いてあるそうです。が、その3つの論文のサンプル数は、以下だそうです。化学療法剤というのは、いわゆる抗癌剤のこと。
 
論文       (1)(2)(3)       
化学療法剤使用群:30人、21人、31人
対照群     :10人、20人、30人
 
 う〜ん、30人前後が大数とは言えないなぁとしか言いようが無いです。これは症例レベルですね。「定量科学の正しさの根拠は"大数の法則"ですが、此処で言う大数は、数学的無限のことです」。ですから、上記の調査研究は、定量科学として見てよいのかは大いに疑問です。

 もう一つ面白かった(と言っては岡田先生に悪いですし失礼ですが)、エピローグに書かれていた、胸部レントゲン検査で肺に小さな影が有ると出た時の岡田先生御自身の「肺がんと診断されたらどうしようか」と考えた時の様子です。そういう経験が有りながら、この本を出版したことを評価したいなと思いました。以下、その部分の引用です。
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 …結果が出るまでの間、正直に言えば周章狼狽の日々でした…もし肺がんと診断されたらどうするかを深刻に考えました。現代医療で標準治療とされているがん治療を受けるかどうかで悩んだのです。当時すでに、いかなる治療を受けても余命に違いがないことを知っていましたし、最新の治療を受けていたにもかかわらず苦しみながら亡くなった患者さんもたくさん見ていましたので、がん治療はいっさい受けないことに以前から決めていたのですが、いざとなると私の気持ちも揺らいでしまいました…悩んだあげく、やはりがん治療は受けないと決心し、CT検査の結果を聞きに出かけたのでした。もし痛みなどの耐え難い苦痛があり、簡単な処置で緩和されるのであれば、その治療だけは受けるつもりでした…結果的にがんではありませんでしたので、今まさにがんの宣告を受けて不安に駆られている人の参考にはならない話でしょう…
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 私が、肺などに影が有ると健診で出たら、ほぼ同じ狼狽葛藤の上で、ほぼ同じ結論を出して、精密検査の結果を待つだろうなと、笑ってしまいました。「今まさにがんの宣告を受けて不安に駆られている人の参考にはならない」と思う点でも同じでした。
 
 なお、9がん予防の内容は以下とのこと。
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1.全てのガン死亡の21%はタバコが原因
2.野菜果物の不足でガンが最大2倍に増える
3.全てのガン死亡の14%は塩分の過剰摂取が原因
4.全てのガン死亡の9%はウイルス感染が原因
  (家族を含めて他人の血液には決して触れない…歯ブラシ、カミソリなど血液が付着する可能性のある日用品を共用しない…性的行為によっての感染はコンドームの使用でリスクを大幅に減らせる)
5.運動不足で一部のガンが最大50%増える
  (「ほとんど運動をしていない人」は「運動をよくしている人」に比べて、大腸がん、乳がん、子宮がんが1.5倍、肺がんが1.3倍多い)…ここでの運動には仕事で肉体労働をしていることも含むようです
6.全てのガン死亡の4%はレントゲンが原因
7.全てのガン死亡の4%はアルコールが原因
8.全てのガン死亡の3%は大気汚染が原因
9.全てのガン死亡の3%は肥満が原因
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 まぁ、私としては、3.に関しては、精製塩が原因とした方が良いように思いましたが、それ以外は、こんなものかなという感じでした。

 岡田先生の以下の本も良かったです。
『薬なしで生きる』
http://d.hatena.ne.jp/kuhuusa-raiden/20100715
  
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追記:以下は、このページの表題とURLですです。
『医者の私が、がん検診を受けない9つの理由』
http://d.hatena.ne.jp/kuhuusa-raiden/20171028/1509147135

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追記:以下に関連することを書きました。
「薬やワクチンの危険、無過失賠責保険は無理!?」
http://d.hatena.ne.jp/kuhuusa-raiden/20160319/1458357812