遊風の養生日記Ⅱ

術伝流の愉癒庵遊風(颶風颯雷電)が、鍼灸操体食養はじめ養生について書いていきます

『和漢診療学』

和漢診療学――あたらしい漢方 (岩波新書)

和漢診療学――あたらしい漢方 (岩波新書)

面白かった所は以下。

胸脇苦満が棘下筋の痼りへの刺鍼で改善(p57)

 これは知らなかったので、今後試してみたいです。

気虚などの診断基準のスコア化(p70〜p81)

 これも使えそうです。後で内容も書きます。

(1)気虚

身体がだるい・・・・・・・・・10
気力がない・・・・・・・・・・10
疲れやすい・・・・・・・・・・10
日中の眠気・・・・・・・・・・6
食欲不振・・・・・・・・・・・4
カゼをひきやすい・・・・・・・8
物事に驚きやすい・・・・・・・4
眼光・音声にちからがない・・・6
舌が淡白紅・腫大・・・・・・・8
脈が弱い・・・・・・・・・・・8
腹力が軟弱・・・・・・・・・・8
内臓のアトニー症状※1・・・・10
小腹不仁※2・・・・・・・・・6
※総計30点以上、程度の軽いものは1/2の点数
※1:アトニーとは、胃下垂、腎下垂、子宮脱、脱肛など
※2:小腹不仁とは、最下部の腹壁トーヌスの低下

(2)気鬱

抑うつ傾向※1・・・・・・・・・18
頭重・頭冒感・・・・・・・・・8
咽のつかえ感・・・・・・・・・12
胸のつまった感じ・・・・・・・8
季肋部のつかえ感・・・・・・・8
腹部の膨満感・・・・・・・・・8
時間により症状が変動する・・・8
朝起きにくく調子が出ない・・・8
排ガスが多い・・・・・・・・・6
ゲップ・・・・・・・・・・・・4
残尿感・・・・・・・・・・・・4
腹部の鼓音・・・・・・・・・・8
※総計30点以上、程度の軽いものは1/2の点数
※1:抑うつ傾向とは、抑うつ気分、物事に興味がわかない、食欲が無い、食物が砂をかむようで美味しくない…など

(3)気逆

冷えのぼせ※1・・・・・・・・14
動悸発作・・・・・・・・・・・8
発作性の頭痛・・・・・・・・・8
嘔吐(悪心は少ない)・・・・・8
怒責をともなう咳嗽※2・・・・10
腹部発作・・・・・・・・・・・6
物事に驚きやすい・・・・・・・6
焦燥感に襲われる・・・・・・・8
顔面紅潮・・・・・・・・・・・10
臍上悸※3・・・・・・・・・・・14
下肢・四肢の冷え・・・・・・・4
手掌足蹠の発汗・・・・・・・・4
※総計30点以上、程度の軽いものは1/2の点数
※1:冷えのぼせとは、上半身に熱感があり、同時に下肢に冷感を覚えるもの。暖房のきいた室内に入ると誘発されるものがあり、これも14点を与えてよい。
※2:怒責をともなう咳嗽とは、咳き込みが激しいこと
※3:臍上悸とは、腹壁の中央に軽く手を当てた際に触知する腹大動脈の拍動

(4)血虚

集中力の低下・・・・・・・・・6
不眠、睡眠障害・・・・・・・・6
眼精疲労・・・・・・・・・・・12
めまい感・・・・・・・・・・・8
こむらがえり・・・・・・・・・10
過少月経、月経不順・・・・・・6
顔色疲労・・・・・・・・・・・10
頭髪が抜けやすい※1・・・・・・8
皮膚の乾燥と荒れ、赤ぎれ・・・14
爪の異常※2・・・・・・・・・・8
知覚障害※3・・・・・・・・・・6
腹直筋攣急・・・・・・・・・・6
※総計30点以上、程度の軽いものは1/2の点数
※1:頭部のフケが多いのも同等
※2:爪がもろい、爪がひび割れる、爪床部の皮膚が荒れてササクレるなど
※3:ピリピリ、ズーズーなどのしびれ感、一皮かぶった感じ、知覚低下など。

(5)瘀血

・・・・・・・・・・・・・・男・・女
眼瞼部の色素沈着・・・・・・10・・10
顔面の色素沈着・・・・・・・・2・・2
皮膚の甲錯※1・・・・・・・・・2・・5
口唇の暗赤化・・・・・・・・・2・・2
歯肉の暗赤化・・・・・・・・10・・5
舌の暗赤紫化・・・・・・・・10・・10
細絡※2・・・・・・・・・・・5・・5
皮下?血・・・・・・・・・・2・・10
手掌紅斑・・・・・・・・・・2・・5
臍傍圧痛・抵抗:左・・・・・5・・5
臍傍圧痛・抵抗:右・・・・10・・10
臍傍圧痛・抵抗:正中・・・・5・・5
回盲部圧痛・抵抗・・・・・・5・・2
S状部圧痛・抵抗・・・・・・5・・5
季肋部圧痛・抵抗・・・・・・5・・5
痔疾・・・・・・・・・・・10・・5
月経障害・・・・・・・・・・・・10
※総計21点以上:瘀血病態、40点以上:重症、軽度なものには1/2の点数
※1:皮膚の荒れ、ザラツキ、ヒビ割れ
※2:毛細血管の拡張、くも状血管腫など

(6)水滞

身体の重い感じ・・・・・・・3
拍動性の頭痛・・・・・・・・4
頭重感・・・・・・・・・・・3
車酔いしやすい・・・・・・・5
めまい、めまい感・・・・・・5
立ちくらみ・・・・・・・・・5
水様の鼻汁・・・・・・・・・3
唾液分泌過多・・・・・・・・3
泡沫状の喀痰・・・・・・・・4
悪心、嘔吐・・・・・・・・・3
グル音の亢進・・・・・・・・3
朝のこわばり・・・・・・・・7
浮腫傾向、胃部振水音・・・・15
胸水、心嚢水、腹水・・・・・15
臍上悸※1・・・・・・・・・・5
水瀉性下痢・・・・・・・・・5
尿量減少・・・・・・・・・・7
多尿・・・・・・・・・・・・5
※:総計13点以上を水滞とする
※1:臍上悸とは、臍部を軽按して触知する腹部大動脈の拍動亢進

瘀血の腹診:臍左右の斜め下、回盲部、結腸部(p114)

 これは、私とほぼ同じでしたので、驚くと同時に嬉しかったです。

心下痞硬に傍脊柱筋の痼りへの刺鍼(p115)

 これも、私とほぼ同じでしたので、驚くと同時に嬉しかったです。

吉益東洞の方証相対論が蘭方の移入を容易にした(p172)

 この辺りも、基本的に私も同じように思っていました。吉益東洞って、自然科学的発想、「薬徴」や「類聚方」って漢方の知識ベースみたいだなと思っていました。

「術ありて 後に学あり 術なくて 咲きたる学の 花のはかなさ」大塚 敬節 先生(p189)

 「…現在の医療を批判することは不遜であるが、医学が先行して臨床の術がふりまわされているようにわたしには思える…」
 
 この辺りも同感です。私が「術伝(和方養生技術伝承塾)」をしているのも、基本的に同じ考えからです。

 追記:ただ、まぁ、術の中身の可能な限り技術化し言語化すると共に、伝承する仕組み、身に付けやすい稽古システムを作っていくことも大切なように思います。

粉を先に飲んで、後から湯を飲む?

 「(漢方の)エキス剤は、インスタント・コーヒーと同じように作られているのです。あなたは、インスタント・コーヒーを飲むときに、粉を先に飲んで後からお湯を飲みますか。飲まないでしょう。」