遊風の養生日記Ⅱ

術伝流の愉癒庵遊風(颶風颯雷電)が、鍼灸操体食養はじめ養生について書いていきます

水素水の飲用と風呂への疑問

 水素水への私の最大の疑問は、「人の体には、酸素(赤血球、外呼吸での肺胞、細胞が内呼吸する所…特に酸素不足に弱い脳細胞)や酸性(肌、胃)が必要な場所もありますね。そこに悪影響を与えないで、人体に不要な活性酸素のみを除去する仕組みが分からない」ということです。以下、順に調べたことを書いていきます。

(1)水素水は、水素ガスを含有した水

 水素水と言うのは、電気分解した水素ガスを含んだ水か、水素ガスを飽和濃度以上に高圧注入した水のことのようですね。すると、ビールを注いだ時や、水を電気分解した時のように、水素水もコップに注いだり、風呂に入れたりすれば、泡になって見えるのかな。泡に見えないとしたら、(その温度での)飽和濃度(溶解度)以下と言うことになりますね。

「水素水」
http://suisosui.in/report.html

電気分解
http://homepage3.nifty.com/kuebiko/science/109th/sci_109.htm

「気体の溶解度」
http://www.tennoji-h.oku.ed.jp/tennoji/oka/2008/08ko-099.html

(2)エネルギーの世界で語られる水素ガスの特徴

 水素(ガス)は、オイルショック後の40年程前から次のエネルギーと呼ばれてきましたが、実用的な規模では今だに実現していません。

 分子が小さいので抜けやすくいこと、周期表の1族であるため反応性が高い(1価の+イオンになりやすい)こと。この2つなどがネックで、貯蔵・運搬の難しさが昔から指摘されています。ですから、水素と酸素を反応させて発電するエネファーム燃料電池と呼ばれる形式)では、エネファームの中で、都市ガスと水蒸気を反応させて水素を作り、直ぐに酸素と反応させています。水素を運搬するよりも都市ガスの運搬の方が簡単(既にインフラが存在)だからと思います。

「安全性が気になる水素・燃料電池、普及に向けて規制緩和も進む」
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1408/08/news033.html

エネファーム
http://home.tokyo-gas.co.jp/enefarm_special/

(3)周期表と水素

 反応性が高いので、酸素と出会えば燃えやすく、17族(1価の−イオンになりやすい)や16族(2価の−イオンになりやすい)などと出会えば、化合物になりやすいわけですね。16族の酸素Oとの化合物が水H2O。17族の塩素Clとの化合物が塩酸HCl。14族の炭素Cとの化合物がメタンガスCH4。

周期表
https://goo.gl/oA7e3O

 周期表の1族というのは、一番外側の電子軌道に水素が1つなので、電子を他の物に与えやすい(=還元しやすい)ということだと思います。酸化は電子を奪うこと、還元は電子を与えること、のようですから。

酸化還元反応
https://goo.gl/5Ycgqt

(4)水素水の還元力と、胃酸、皮膚の酸性バリア、内呼吸で使用の酸素、赤血球で運搬中の酸素

 また、胃は胃酸で食物内の細菌類を殺菌していますし、皮膚も弱酸性バリアで細菌などから体内を守っています(ですからシャンプー後のリンスは酸性ですね)。それらに影響(胃:消化不良,食中毒、皮膚:肌荒れ,皮膚炎,水虫など皮膚の感染症)を与えない程度の還元力で、胃(水素水飲用)から先、皮膚(水素水風呂)から先の体内で活性酸素に影響を与えるとは思えませんが、違いますか? その辺りの仕組みの説明が不明確と思います。

「胃酸」
https://goo.gl/SEBZhz

「皮膚表面は、なぜ弱酸性なのか?」
http://ameblo.jp/hakusan-oste/entry-10994814392.html

 また、皮膚や胃の酸性バリアだけでなく、酸化還元反応は、体の中のどの場所でも起きる可能性があります。つまり、運良く胃や皮膚から先に体内に届いたとして、活性酸素を除去できるだけでなく、体の細胞の内呼吸に使われる酸素や、赤血球で運搬される酸素などとも反応してしまう可能性があるのでは? 体に不必要な活性酸素の有る場所でのみ、水素の還元力を発揮させられればよいのですが、そういう工夫をしているという記述が見当たらないので、大丈夫なのかなと思っています。

「赤血球」
https://goo.gl/ZmnYVZ

「内呼吸」
https://www.kango-roo.com/word/6636

「酸素供給システム」
http://www.senkensoi.net/old/ssnet/mechatronics/071116.html

 身体には、酸化が必要な場所も有ると思うのですが、そういう場所が還元されてしまわないような仕組みが無いように見えてしまいます。

(5)水素水風呂とガス追い焚きで爆発の可能性は無いの?

 また、風呂で水素ガスを発生させる水素風呂に関しては、ガスで追い焚きタイプの場合は、火が付くわけで、爆発事故の可能性もあるのでは? 特に、水の電気分解で水素ガスと酸素ガスを発生するタイプだと危ないように思います。

「爆発する泡 水の電気分解-爆鳴気」
https://www.youtube.com/watch?v=HjR_KQtJoLQ
 
 というのも、私が小学校の(多分)6年の時に、授業の水素ガスの実験で爆発事故が起き、級友がしばらく入院したことが有ります。現在でも起きているようですね。
「水素実験における爆発事故」
http://www.geocities.jp/hotei103/link11.htm

 まぁ、いま市販されている水素水や水素水風呂用水素発生装置などは、水素ガスの量が少ないかもしれないので、問題は出ないのかも知れません。が、そうすると、今度は、体内の活性酸素の有る場所に届くまで還元力が失われない程度で、かつ、体内の活性酸素に有効な程度の濃度なのかどうかが気になります。

(6)エネ業界に比べ、安全性や輸送への配慮が疑問

 水素水は、エネルギー業界に比べて、安全性や(必要な所に届ける)輸送についての配慮が十分とは言えないような気がしますが、如何でしょうか? 燃料電池車を動かすために、車全体を水素ガスで包んでいる感じに見えてしまいますが、違うのでしょうか?

 FBのあるグループで、長々と議論に付き合ってくださる人達がいて、いろいろ調べて、ここまで来ました。付き合ってくださった皆さん、ありがとうございます。

 水素水と聞いて、先ず初めに浮かんだのは、ゴルゴ13、水素ガスを自動車燃料に使う時に確か何かの金属を媒介する話だったと思います。本田宗一郎さんをモデルにした人物が出てきて、水素ガスの特徴が色々書いてありました。

『闇の支配者に握り潰された世界を救う技術』 ゴルゴ13に破壊された水素カー
http://sanmarie.me/essay-29/

 そう言えば、昔「疲労や集中力の回復、眠気の除去」を歌った酸素バーとか有りましたね。

「酸素バー」
https://goo.gl/eJrceD

「酸素バーとかって医学的には大丈夫なのですか?」
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/2397104.html

 過剰な酸素の害では、未熟児網膜症が知られていますね。
https://goo.gl/jh3r67

追記:2016.6.14
 水素水風呂については、水素ガスの含有量(効果的な量が含まれているか)、肌や体内の酸性が必要な場所への安全性、風呂場で爆発が起きないか…などの点を検証中です。

 それと、その温度での溶解度以上に水素ガスが含有されていれば、泡になって見えるはずですし、溶解度は温度が上がれば水素ガスの溶解度は下がるし、掻き混ぜても下がる気もします。その辺りで、風呂という手段が適切かについても、疑問があります。

 水素ガスの濃度が、その温度での溶解度以下の場合に、それが体の方に移動するか、まぁ、温めて溶解度が下がった分が泡になったら、軽いから基本は上に動くので、体に移動することも考えられますが。つまり、水素水風呂というのは、室温と入浴温度の水素ガスの溶解度の差を利用した方法かも知れないなとは思っています。

 体の中で酸素不足に一番弱いのは、確か脳細胞でしたね。溺れた場合などで、助かっても脳機能の一部が失われてしまう場合があるという話を聞いたことがあります。風呂場で水素ガスが上に動いた場合に、人体の一番上は頭なので、その辺りも少し心配です。もちろん、酸素ガス100%も心配ですが。

低酸素脳症による目に見えない障がい」
http://www5b.biglobe.ne.jp/~Masa-Ta/sub1html.htm

追記:2016.6.15
「水素浴の機械は、肌に泡が吸い付くのも見えます…取り扱い説明書には還元方式 直流電解方式とあります。水を電気分解してるので水中のカルシウムが付着するので月一回クエン酸で電極部分をつけ置きしています…電極は1つです」という使っている人からの情報でした。

 それに対しての私の疑問は以下です。
・・・
 電極が1つで、どうやって「水の電気分解」をしているのか不思議ですね。間に絶縁体でも挟んでいるのかな?…でも、その場合は、水素ガスと酸素ガスを両方共に風呂水に誘導し入れていることになるので、「水素ガスに因る還元」と「酸素ガスに因る酸化」と同時にしていることになりますね。水素ガスは細かいから体の中に入り、酸素ガスは比較すれば大きいから体の中に入りにくいということなのかな?…それにしても、沢山出ていると、水素ガスと酸素ガスが、風呂水の外の風呂場に出ることに成り、爆発の可能性が出てくるような気がしますが。
・・・

 そして、高圧注入の水素ガスを含んだ水を飲んだ場合には、ビールやシャンパンのようにブクブクと泡が出ている状態でしょうから(そうでないなら溶解度以下ですね)、たいてい座位や立位で飲むでしょうから、口に中で出た水素ガスは軽いから上の方へ動き、脳の方に向かうことになりますね。(水素水風呂に入ると肌の内部の体内へ水素ガスが入るなら)粘膜や細胞を通り抜けるということでしょうから、脳細胞にも達するのかな…脳細胞の酸素不足が心配になりますが、大丈夫なのかなぁ。

 要するに、私の最大の疑問は以下なんですが、
「人の体には、酸素(赤血球、細胞が内呼吸する所、特に酸素不足に弱い脳細胞)や酸性(肌、胃)が必要な場所もありますね。そこに悪影響を与えないで、活性酸素のみを除去する仕組みが分からない」(追加:肺胞での外呼吸、胃に行く前に肺に行く可能性もあるので)

大田成男さんの以下の2つの文章にも、その説明は出てきませんね。

活性水素水と水素水は別物です。」
http://shigeo-ohta.com/topics112/

「正しい水素医学と水素産業の理解のために ーーあの産経ニュースの記事には、明らかな誤認がある!」
http://shigeo-ohta.com/topics114/

追記:2016.617
 化学合成薬の処方が極限まで来て、このまま続けるのは無理そうになってきたので、食養(糖質制限、水素水飲用)はじめ養生をすすめる医師が増えてきたのは良いのですが、極端な人が多い印象を受けます。化学合成薬処方のクセが抜けず、ピンポイントを狙いすぎる傾向(高度精製糖質や化学合成糖質の制限を糖質制限と言う、水素ガスだけ増やした水)にあるのと、反対のことも人体には必要(低GI糖質、酸素や酸化)なことを無視したりする傾向にあるように思います。まぁ、言ってみれば、化学合成薬を処方する感覚から抜け出せていないように思います。

追記:2016.6.23
 作り方として、「マグネシウムと水、あるいはアルミニウムと酸化カルシウムと水の化学反応で作った水素分子で濃度を高める」という方法も有るそうですね。