遊風の養生日記Ⅱ

術伝流の愉癒庵遊風(颶風颯雷電)が、鍼灸操体食養はじめ養生について書いていきます

ソマとハペの会



 このあいだソマのサンプルを送っていただいた皮膚ラボの長谷川さんが東京に出てくるというので、新川区民館に部屋をとり、会った。
 部屋にはいって挨拶が終わるやいなや、すごい勢いで説明がはじまり圧倒されてしまった。まずは、原理や実験結果から。
 それから、いろいろな製品を説明してもらい、ハペシリーズのサンプルをいただいた。
 ソマよりも広い面積に使えるので、ソマよりももっと患者さん、とくにお年寄りの患者さん向きだなと思った。とくに、ハペシートの巻きつけタイプは使いやすそうだ。
 直径5cmか10cmのハペシートを下着のほうに貼り付けるタイプとかも使いやすそうな気がする。これも試作を依頼してみたいと思う。

 私がいちばん欲しかったT型ハペロールは、伝え方だまずかったのか、V型の角度を180度にしたものを持ってこられた。そうでなく、写真のジャンボローラーというコロコロ型小児鍼のように、1個のローラーが軸に直角につくものがほしいと伝えたら、それは最初の試作品で、製品としてはボツになったものだという。
 プロが患者さんの治療に使うには、このタイプが使いやすいことを伝え、銀の網もかぶせたハペロールTEを作ってくださるよう再度お願いした。これは、かなり使える小児鍼になる可能性がある。
 フクラハギを患者さんご本人にやってもらうには、長谷川さんの言うようにV型がいいのだが、しかし、患者さんご本人にフクラハギをしてもらうには、ハペシートを巻きつけるほうが、もっと良いとも思うし。

 あと、ハペロールでおもしろいのは、肌がスベスベツヤツヤになること。3分ほどで肌のキメが細かくなってしまうこと。女性には喜ばれるだろう。自分で顔をハペロールするには、I型が良いかもしれない。
 もうひとつ非常に面白かったのは、硬めの直径1cmくらいのハペを棒の先に垂直につけたもの、ほんのすこし押し付けて、ほんのすこし捻転する方向に力を加えるだけで、気が動いた。皮膚の操体の「沈+捻転」が確実にできる道具という感じで、普通に刺鍼したのと同じくらいの速さで気が動く。 
 ギックリ腰でも「ゼッタイ鍼は刺さないで!」というような患者さんの治療に使えると言ったら、長谷川さんご自身がいまギックリ腰気味という。
 試してもらったら、捻転はさほど不自由なく、前屈はまぁまぁだが、後屈がつらそう。痛い側を上にした横向き寝になってもらい、上の足を小指裏のシコリが痛まない角度に曲げてもらってから、足甲4~5間に出ていたツボに試作品をあてほんの少し捻転する方向に力をくわえたら、すぐ気が動いた。アゴをゆっくり胸に近づけたり離したりしてもらった。気の動きがおさまった感じがしたときにやめた。立ち上がってもらい、ためしに前後屈をしてもらったら、前屈は10cm程の改善だったが、後屈は非常に改善し、普通になっていた。
 「なぜアゴを動かすのか」という質問がくる。さすが技術者だなと思った。「ほんとうは腰を前後屈してもらいたいのだが、動かしづらいので、かわりに首の前後屈をしてもらうためで、首の骨と腰の骨は繋がっているので、腰を動かしたのと同じような効果が出る」と言ったら、納得してくれた。このあたりも、さすが技術者という感じがした。
 たぶん、邪気は電気現象なので、棒の部分がプラスティックでなく、金属のほうがよいと伝えたら、さっそく試作してみるという。ありがたいことだ。こちらも、かなり使える鍉鍼になる可能性がある。
 なんていうか、技術や道具についての考え方が似ていて、話をしていて非常におもしろかった。長谷川さんのシーズに、治療者としてのこちらのニーズを組み合わせれば、患者さんやご家族に喜ばれるものが開発できそうな気がして、ワクワクしている。