『森の診療所の終の医療』
- 作者: 増田進
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/09/25
- メディア: 単行本
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国保沢内病院や国保田老病院でも鍼治療はしていたが、混合診療になるので、鍼治療代はとらなかったそう。鍼治療を大幅に入れたいから、自由診療という面もあるようだ。
- 今の医療の現状は、治療はマニュアル通りなのだが、実情に合っていない・・・患者さんの実情と書類があっているかは関係がない・・・役所がその書類を認めればカネになるという、非常に官僚的なペーパー医療だ・・・保険に管理され、がんじがらめになったペーパー医療は卒業したいと思った
- 鍼の場合は、よくなった、あるいは変わらないと言われることはあっても、悪くなったという例がとても少ないのだ(トリガーポイントブロックなどにくらべて)。鍼は体にやさしいと興味をもつようになり・・・鍼治療もとりいれるようになっていった
- (緑陰診療所では)基本料金は\1900。話をきくだけのときも。40分もかかったらプラス\500とか。鍼が一か所\300〜¥500。薬は保険のきく病院でもらうことをすすめているが、めんどうだからここでもらうという人がいて・・・これまでの診療費の最高額は、薬を出した例で\6000
- 筋膜、骨膜は結合組織だが、ここまで刺さないと鍼は効かない
- ある場所に鍼を刺すと鍼が抜けなくなることがある。体の中の組織がギュッと鍼をつかむのだ
- 体をさわっていくと、押してみて痛みを感じるところがたくさんある・・・生活の仕方によるものだろうが、その場所は人によって違う。これが昔からツボと呼ばれているところと一致する
- ツボといわれるところは、骨に筋肉がつく場所にあることがおおい
- そこに圧痛があって、少し硬くなっているのは確かだ。鍼を刺すと、その筋がほぐれて柔らかくなる。そして患者さんは楽になったと感じるのだ
- 腱はさまざまなセンサーがあるところだ。センサーの中で一番大事なのは、筋肉の緊張を測るセンサーである
- そこ(センサー?)を刺激すると、痛いとは異なり、苦しい、あるいは、しびれると感じる。皮膚が感じる痛さとは異なる、苦しいとかしびれるという感覚だ。
- そのセンサー群をまとめて深部知覚という・・・私の治療は、深部知覚を刺激して、緊張している筋をほぐす。鍼による深部のセンサーからの情報で、中枢からほぐす指令が出るのだと思う。
- 圧痛の出方には法則性がある。脊柱管にトラブルがある人は、骨盤の中央より仙骨周辺に痛みが集中する。骨が変形している場合や筋肉性の腰痛の場合は、骨盤の外側に圧痛がある
- レントゲンで見るよりも、さわったほうがわかる。そして、治ると感触も変わる。患者さんの体を押さえている看護師がそれを感じて驚くほどだ。
- マスサーベイを信じていて、こういった鍼治療は科学的でないという人たちとは、大きな論理の違い、考え方の違いがあるだろう。しかし、私は、患者さんは一人ひとり病態が違うのだから、治療法もそれに従って異なるのが自然だと思っている
- 今は、鍼治療の面白みというか、そういう世界を垣間見ている感じはしていて、患者さんが来る限りはもう少し診療を続けてみたいと思う。
- これからの方向として、診療所にデイサービスをプラスしたような形で、地域のお年寄りがちょっとお茶を飲みに来るような、そんな場にできないか・・・積極的にお年寄りが「楽しかった」と思える場を作っていくのがいいと思っている
- 地域医療として目が届く範囲は、せいぜい1万人が限度
- 医者の偏在を解消するには、保険医を許可制にする
- 検診実施で医療費があがるのは、グレーゾーンを患者にしているから・・・沢内村ではグレーゾーンを健康な人と同様に扱い、要所要所でアドバイスしたり、見守るだけで、お年寄りは十分長生きできる(そうすると、検診しても医療費は下がる)
- 裁判官みたいに判決をくだして・・・選別するのは、人間管理にほかならない・・・人は、それぞれが責任を取りながら生きていく存在だ。これからも、患者さんとの対話を続けていきたい。
増田先生も、操体の橋本敬三先生、高知の西田皓一先生、石川の加茂淳先生たちと同じように、鍼の効果の原理を筋肉はじめ運動器系軟部組織の機能性病変の改善と考えているところは共通しているなと思った。沢内では、操体法もしていたというし。
鍼治療自体も、おそらくは、私の鍼治療と近いのではないかなと思った。
患者さんとの対話、かかわりという面でも勉強になった。
追記:関連する情報は以下にあります ーーー
「患者のために自由診療(医師が鍼を多く使って)」
http://d.hatena.ne.jp/kuhuusa-raiden/20071025
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