遊風の養生日記Ⅱ

術伝流の愉癒庵遊風(颶風颯雷電)が、鍼灸操体食養はじめ養生について書いていきます

『トリガーポイントブロックで腰痛は治る!』

トリガーポイントブロックで腰痛は治る!

トリガーポイントブロックで腰痛は治る!

 運動器系の疾患を考えるときの必読書ではないかなぁと思った。
おもしろかったところは、以下。

  1. 腰痛の犯人は、骨じゃない、肉だ
  2. 筋骨格系の痛みのほんとんどは、筋痛症
  3. 臨床的証拠がないからといって、病気が存在しないという証拠にはならない。患者の訴えは正しいものである。医学的にあり得ないと考えずに、訴えに耳を傾けること。患者は全身で24時間、疾病と対決している。(恩師の言葉10の2番目)
  4. 痛みはいかなるときも速やかに止めること、医療では完璧よりも急を尊ぶ場合のほうが多い(恩師の言葉10の7番目)
  5. 筋肉が硬くなってけいれんをおこして痛みが出ているのだから、筋肉を鍛えることでかえって悪くなることもある
  6. 慢性痛のメカニズムは、運動&交感神経の興奮→筋肉の緊張→抹消血流障害→組織酸素欠乏→発痛物質産生→痛み→運動&交感神経の興奮→・・・という悪循環
  7. 筋骨格系の痛みは、生理機能のトラブルだ(便秘、下痢、咳、鼻水、高血圧、動悸、ジンマシン、アトピーなどが機能性疾患であるのと同様で、筋に出るタイプ)
  8. 麻痺とシビレは違う、シビレは血行障害、神経は圧迫してもシビレないで麻痺する、麻痺は感覚喪失(と運動機能低下)、痛みによる筋力低下を麻痺と誤解している
  9. 神経圧迫でおこる麻痺には、頚部脊髄症と馬尾症候群があるが、きわめてまれ
  10. 神経繊維は、末端受容器からの信号を伝達するもので、その途中が興奮を起こしたりすることはない
  11. 痛みの悪循環が始まると、筋肉はしだいに硬くなり短縮していき、その中に筋硬結が見つかる
  12. 筋痛症の軽いものがMPS(筋筋膜性疼痛症)、重いものがFM(線維筋痛症
  13. 国際筋痛症学会はあるが、日本筋痛症学会は、まだ無い
  14. 筋肉科、筋肉内科、心療筋肉科といった、新しい科の創設が必要
  15. 安静治療では、腰痛は治らない
  16. 「あなたの腰痛は心身症です」よりも「あなたの腰痛は、機能的な疾患です」のほうがいい
  17. 心からの治療も大切だが、やはり体からの治療は欠かすことはできない
  18. 慢性痛の治療では、痛みをとることが治療そのものである
  19. 加茂式トリガーポイントブロックで熟練を要するのは、注射の深さ、痛みを感じている筋肉の位置を想定して決める
  20. 筋肉を鍛えるのではなく、ほぐす。いちばんラクな姿勢を探し90秒くらい保つ(カウンターストレイン)と緩んでくる
  21. 操体法は、理論的にはカウンターストレインと同質
  22. わずかな外傷(打撲)が重篤な筋痛症を生じることがある、特に、頸(首)の外傷(打撲)
  23. 半月板損傷は痛みのある人にも無い人にも同等に見られる、膝関節症の関節鏡視下手術は利益無い、脊椎椎間部の損傷と腰痛の間に関連性は見られない、以上3つが米国から原稿執筆中にはいってきた


私が「先急の一本鍼」としてやってきた運動器系疾患の治療と考え方も施術もほとんど同じだということが再確認できた。ようするに、筋肉の機能性疾患なので、過弛緩・過緊張した筋肉をもとの自在に緊張弛緩する状態に戻せば良いということ。ただし、8.については誤解していたので、説明を改める必要を感じた。