遊風の養生日記Ⅱ

術伝流の愉癒庵遊風(颶風颯雷電)が、鍼灸操体食養はじめ養生について書いていきます

鍼灸2期11運動器系応急処置のまとめ

2.18に講座で練習するので、「運動器系応急処置のまとめ」を術伝MLに送った。おおまかには以下の通り。3月4日と18日にこれを3人の方に連続して施術する「3人通し稽古」を開催。このブログを見ている方で患者さん役モデルを引き受けて下さる方がいらしたら、リンク先の術伝HPの術伝事務局宛メールをください。開催場所など詳しいことを連絡いたします。よろしくお願いします。
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「鍼は引き鍼」改訂版原稿
[4]運動器系の応急処置
[4-11] 運動器系慢性期のまとめ 
(C)2007 愉愈庵遊風
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(0)基本的に
 運動器系の慢性期では、初回は先ず鍼のみでの刺鍼をします。鍼のみでは変わりにくいツボを見付けたら灸や灸頭鍼をします。
 2,3回慢性期の型を中心におこなったあとは、慢性期の腹診のあと、古いツボが特定できたら、灸や灸頭鍼を中心に治療したりもします。
(1)慢性期の型での運動器系刺鍼手順
 運動器系慢性期の刺鍼は、慢性期の型に患部刺鍼と動作鍼を加えます。基本的に慢性期の型で診察し刺鍼していき、患部に関係するツボが出やすい処を丁寧に観察刺鍼し、その後その患部関係の動作鍼を行い、また、慢性期の型に戻り、後始末として頭の散鍼をして手甲に引いて終わります。
 例えば、腰痛なら、患部の腹側にツボが出ていないか、その腹のツボに関係する手足の経絡にツボが出ていないか調べ、出ているようなら刺鍼します。腰痛に関係するツボが良く出る足の経絡、背中から腰、臀部、膝裏から脹ら脛などもよく調べます。
(2)辛い箇所別の刺鍼
 辛い箇所別の刺鍼は、ツボが出やすい場所の基本刺鍼と、動作鍼が主になります。
(2-1)腰痛
 腰痛では、基本刺鍼は、腰から尻、膝裏から脹ら脛、その延長の足首周りまでが中心ですが、患部の腹側やそれに関係する足陽経、足甲4,5間などにもツボが出ます。
 運動鍼は、捻転制限と前屈制限が中心で、捻転制限では腰椎3の横輪切りラインにツボが出て、前屈制限では腰椎5を起点に背中方向(肩甲骨下角まで)と臀部・足方向(膝裏まで)の足太陽にツボが出ます。
(2-2)肩痛
 肩痛では、基本刺鍼は、首から肩、肩甲骨の周り、脇の下〜上腕陰経、脇の下前後の水掻きです。首のコリが伴えば、後頭骨下縁、横頚部、前頚部、鎖骨周りにもツボが出ます。
 動作鍼は、挙上制限では脇の下〜上腕陰経や肩甲骨周り、捻転制限では肩峰〜胸と肩峰〜背中で上腕と直角のライン上にツボが出ます。
(2-3)膝痛
 膝痛の基本鍼は、膝裏から脹ら脛です。その延長で足首付近までツボが出る事があります。
 動作鍼は、正座不可が中心で、膝裏から足首方向と臀部方向、膝皿周りから足首方向と腹方向で、それぞれ膝裏H字状の窪みの内外のラインの延長上が多いですが、真ん中のラインの延長に出る事もあります。
 正座に近い格好になれるけど体重が掛けられない場合には、それらの延長の臀部や鼡径部にツボが出ている事が多いです。
(2-4)肘痛
 肘痛の基本刺鍼は、肘の手の平側で、肘から2〜5cm位の範囲で古いツボが出ていることが多いです。 動作鍼は、屈曲制限では手陽経、伸展制限では手陰経が主で、それぞれ、親指側、真ん中、小指側の3本のラインに出ます。捻転制限では前腕の太い処が中心です。
 また、肘の手甲側先端近くの補絵の上が痛い時は、腱付着部痛の事が多く、ツボはその腱の筋腹に出ます。
(2-5)手首足首の痛み
 手首足首から先の辛さには、巨刺、上下刺、対角刺が効果的です。対角刺から始め、上下刺、巨刺の順で患部に近づけていきます。
(2-6)指周り、手の平、足の裏の痛み
 指周りや手の平、足の裏など鍼が刺しにくい処のの辛さには、灸、硬く細く捻った糸状の直接灸が効きます。
最初に井穴や指端に糸状灸し、それから動作鍼のように動かして痛いところを見付け糸状灸をし、痛い所がなくなったら、仕上げに再度井穴や指端に糸状灸をします。