遊風の養生日記Ⅱ

術伝流の愉癒庵遊風(颶風颯雷電)が、鍼灸操体食養はじめ養生について書いていきます

『植物はなぜ薬を作るのか』

植物はなぜ薬を作るのか (文春新書)

植物はなぜ薬を作るのか (文春新書)

ーーー 以下、アマゾンの内容紹介です ーーー
ゲノム科学の進展で、今、薬用植物の世界が熱い!
ポリフェノールカテキン、フラボノイドなど、今や日常用語として使われている植物由来の成分です。モルヒネキニーネ、ヤナギの成分から作ったアスピリン、生薬を用いる漢方薬など、人間は古代から植物の作る薬を使ってきました。しかし、つい最近まで、なぜ、どのように植物が薬を作るのかは解明されていなかったのです。
その根源的なメカニズムがわかってきたのは、2000年代に入って植物のゲノム配列が決定されてからのこと。「動かない」選択をした植物が「生き残り」戦略として、動物などの捕食者から身を守るため、いかに巧妙なシステムで「毒」のある成分を作るのか。しかも、その「毒」から自らを守るためにどのような方法を採っているのか。その「毒」には抗がん薬の元となる成分も含まれます。
そうした巧緻なしくみが、ゲノム科学の発展により遺伝子レベルで突き止められるようになってきました。中国からの輸入が困難になりつつあるカンゾウ(甘草)の成分も人工的に作ることが可能になるなど、最先端のバイオテクノロジーにも触れつつ、驚くべき植物の戦略を明らかにします。
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ーーー 以下、個人的に興味深かった点 ーーー

  • p86:実のところ、ほとんどの抗がん剤はがん細胞だけの細胞分裂を止めるわけではなく、他の細胞の分裂も止めてしまうのです。ただ、がん細胞は非常に活発に分裂し、その結果、増殖速度が速いので、ビンカアルカロイドのような細胞分裂を阻害する物質が抗がん剤として有効なのです
  • p99:同化代謝戦略:動けない植物は、動物のように食物を獲得することが出来ません。そこで、空気中の二酸化炭素と、土壌から根によって吸い上げた単純な無機塩類を使い、エネルギーを与えてアミノ酸や糖などの有機化合物を作る機能(これを「同化代謝」と呼びます)を発達させました
  • p100:化学防御戦略:…動物のように逃げ出すわけにはいかないので…捕食者、病原菌、他の競合する植物などの生物に由来するストレスに対抗するために、植物は化学成分による防御戦略を発達させ…1.捕食者から食べられないように…苦い味や渋い味……2.病原菌に対してもその増殖を抑える化学成分を作り……3.他の植物の生長を阻害する化学成分を作る…
  • p102:植物の「敵を寄せつけない強い生物活性」…は、よく効く優れた薬が持つべき重要な性質の一つ…
  • p110:…一つだけの化学物質に対する耐性を獲得することは、それほど難しくありませんし…耐性メカニズムが遺伝子と共に他の生物に伝搬して広まることも可能…他の植物が真似できない成分を作る必要…結果的に、植物界全体で見た時の防御物質の化学的多様性は増大…
  • p133:地球上で一番多いタンパク質はルビスコ…植物の光合成に関わる重要な酵素葉緑体の中にあり…二酸化炭素から…炭素3個の代謝産物を作る反応を触媒…光合成の入り口にあたる…あまり効率が良くない…植物は大量のルビスコを蓄える…新鮮なホウレンソウ100gには1gもルビスコが含まれている…
  • p172:…サツマイナリ属…カンプトテシンを作る種は、すべてカンプトテシンに対する自己耐性を持っている…
  • p184:…防御的な機能を持つ毒性成分を生合成(生物合成)する遺伝子群と…毒性成分を無毒化する…自己耐性に関わる遺伝子は、同じクラスター(遺伝子の塊)の中にある…分離してしまわないため…
  • p185:…トウガラシのカプサイシン…哺乳動物はカプサイシンの辛さに敏感…鳥にはカプサイシンを感じる受容体が無い…鳥に食べられた…種子はほとんど消化されずに糞便から出…
  • p187:ジャガイモの毒とアンデスビクーニャの関係…毒性アルカロイドをうまく使って、成長途中では食害されず、なおかつ完熟種子を肥沃な土壌に散布してもらう…
  • p204:…現在までに行われた遺伝子組み換え植物に関する幾つかのメタボロミクス研究によれば、栽培環境の変化や従来の品種間での成分変化の方が、遺伝子組み換えによる成分変化よりもはるかに大きく…(筆者感想:本当かなぁ)
  • p207〜208:…遺伝子組み換え植物は…日本では商業的な栽培はされていませんが、植物油などの加工食品、家畜飼料、綿製品などの原料として大量に輸入され…輸入穀物のうち遺伝子組換えの割合は、とうもろこしでは80%、大豆では90%…世界の綿花の75%は遺伝子組み換え…
  • p229:…単一の植物成分だけを薬として使うのではなく、生薬や漢方薬のように多成分から成る植物エキス製剤の可能性も探らないといけません…
  • p232:…植物は、私たち人間に「優しくするために」、私たちの「体に良いもの」を作っているわけでは決してないのです…

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感想:私が、「化学合成物や高度精製物を少なくし、丸事食を増やす」生活をしているのは、地球で生きている生物(特に植物)には、毒性が有ったら必ずその毒性を軽減する成分や仕組も有るはずだと思うからです。そういう視点から見ると、とてもおもしろかったです。
 
以下、この記事のURLです
http://d.hatena.ne.jp/kuhuusa-raiden/20171111/1510355060