遊風の養生日記Ⅱ

術伝流の愉癒庵遊風(颶風颯雷電)が、鍼灸操体食養はじめ養生について書いていきます

アニミズムと自然科学

 私の信仰はアニミズム(素朴な精霊信仰)です。「自然てスゴいな!」です。小さい頃は、森(など自然の中)に行くと妖精が居るような気配を感じる子供でした。大きな木や打ち寄せる波を見ること、刻々と強さや向きを変える風に吹かれることが好きでした。

 そして、小学生の頃は、図書館に通い、主に4類(子供向け自然科学解説本)と9類(神話、ファンタジー)の本を読みました。9類では、特に、「ギリシャ神話」と『だれも知らない小さな国』に始まる「佐藤さとるさんのコロボックル・シリーズ」が好きでした。「森に行くと妖精が居るような気配を感じる」子供らしい選択だったなと思います。(今でも『蟲師』とか好きです)

 このアニミズム的心情は、大学の数学基礎論数理論理学ゼミで「ゲーデル不完全性定理」を知り、ますます強くなりました。以下のことが分かったからです。

A1:「ゲーデルの完全性定理」が適用できる数学的論理を使っても、「真偽判定不能な命題の数(=実数以上)」の方が「真偽判定可能な命題の数(=自然数以下)」よりも圧倒的に多い。

追記2018.10.2 ーーーーーーーーーーーーーーー
 ゲーデルは、数学的論理展開と自然数の1対1対応をゲーデル数を使って証明(完全性定理)、それと「カントール対角線論法カントール自然数と実数は1対1対応できない=同じ無限だが実数の方が遥かに多いことを証明した方法)」を用いて、「真偽判定不能な命題の数(=実数以上)」の方が「真偽判定可能な命題の数(=自然数以下)」よりも圧倒的に多いことを証明(不完全性定理)したように思います。
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 そして、A1から必然的にA2も理解しました。

A2:科学が発展しても、人間が科学的に解明できることよりも、科学的に解明できていないことの方が圧倒的に多い。

ーーー 追記 ーーーーーーー
 人間が科学的に伝え合うとしたら、言語や数学を始めとした記号を用いるしか有りません。「ゲーデル不完全性定理」は、記号を利用した論理展開全てに関係します。
 つまり、人間が科学的に伝え合う範囲では、ヒトは自然を超えることは出来ないということです。

追記の追記:
そして、ゲーデルの「不完全性定理」によって、経典でしか定義できない一神教の神は存在し無いと思うようになりました。経典も、記号を利用した論理展開で、「ゲーデル不完全性定理」で、経典に書かれた以外の真理が無限に存在すると思うように成ったからです。
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 そして、以下の2つも分かりました。

B1:「定性科学の正しさの根拠」は、数理論理学と数学基礎論
B2:「定量科学の正しさの根拠」は、確率論と「大数の法則

 そして、それらの応用としての数理科学や誤差論や認知科学や知識工学も学び、エキスパート・システムにおいては、推論エンジンよりも知識ベースの方が成否に大きく関係することを知りました。「経験を帰納し、自然法則を見付ける」のは「自然科学の本質」なんだけれど、難しく、天才の仕事という感じです。

 日本の伝統医学の世界では、吉益東洞と尾台榕堂が例になると思います。薬徴などは、漢方の知識ベースとしてスゴいなと思います。ですから、今でも日本漢方の基本なんだなと思います。

B3:「経験を帰納し、自然法則を見付ける」のが、自然科学の本質

 かと言って、自然科学が嫌いになったわけでなく、自然科学もますます好きになりました。特に、AIやロボット、自然人類学や縄文学や実験考古学や文化人類学、生物学や生態学生命科学などは、今でも、新しい発見の情報を集めています。

 それで、「A2を踏まえた上で、自然科学の成果は利用しよう、自然科学的合理性は大切にしよう」というのが、私の基本的立場です。

A3:「科学が発展しても、人間が科学的に解明できることよりも、科学的に解明できていないことの方が圧倒的に多い」ことを踏まえた上で、自然科学の成果は利用しよう、自然科学的合理性は大切にしよう。

 言い換えれば、アニミズム(自然への畏敬の念)が無い自然科学は暴走しやすいということ。

 また、確率論と「大数の法則」を学んだ立場から、以下のことも大切に思っています。

A4:同一民族同一世代100万人単位で10年以上経過していない疫学的研究は、「大数の法則」を満足したとは言えない。年齢変化を考慮すれば30年、世代間の影響を考慮すれば100年の調査が必要かも。

追記 2018.10.02 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 その上で、ヒトは、遺伝子的には一卵性双生児を除いては同じでは有りません。また、遺伝子の機能発現は環境要因に左右されることも知られています。同じ遺伝子の組を持っていても(一卵性双生児でも)、環境に因って、遺伝子の機能発現は違ってくるということです。つまり、ヒトは一人一人が異なった存在、唯一無二の存在です。
 確率論での「大数の法則」は、サンプルが理想的に同じ事(「サンプルの同質性」の高さ)を前提にしてます。「理想的に出る目の確率が1/6なサイコロを振っても、降る回数が少ないうちは出る目の確率は1/6とは限らないが、降る回数を無限に近付ていく(「サンプル数の多さ」が大切)と1/6に近付く」と言うことです。一人一人異なった存在のヒトに「大数の法則」を適用するには、工場生産の製品の最低1万倍位のサンプル数が必要と思います。

………2022.01.08追記……… 
定量自然科学的に正しい」ことと、「現代医学が産業として成立するために正しいとされている」ことは、区別した方が良いでしょうね。ヒトは遺伝子とその発現が一人一人異なる存在で有り、そういうヒトの集団に対してサンプル数が数百数千でエビデンスなんてお笑いレベルということなので、サンプル数10万(できれば100万)までは人体実験と思った方が良いですね。ですから、救急救命の時は仕方が無いとして、それ以外は避けた方が無難でしょうね。

 ここ2,3年の新コロ新コロチン騒動は、そういうことを認識する人を増やしたのが良い点かもしれませんね。
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・・・追記の追記:2021.06.02・・・
救急救命を除いた現代医療って、集団免疫や集団防疫が主なんだなと思い至りました。

ワクチンと言う発想は、「弱毒化(症状が出にくくした 、が、免疫系が元の病原体と同じと認識する必要は有る)病原体を集団感染させて、(有症状・副反応など多少の犠牲者を出しても良いから)集団免疫を獲得する」ための方法ですね。一人一人の個人免疫のために開発された手段では無いですね。

個人免疫のために開発するとしたら、その個人の遺伝子からクローン(同一遺伝子のもの)を1万体作り、そこで、有効性と安全性を確かめますね。それが、自動車や家電を作り有効性や安全性を確かめる時の方法です。自動車や家電は、設計図が同じですから。ヒトは、設計図(遺伝子)が一人一人違うし、遺伝子が同じ一卵性双生児でも環境での遺伝子発現が違うので同じでは無いですね。

 もし本格的に実践するなら、自動車や家電と同じように、同一設計図つまり遺伝子のクローンを1万個作って、有効性や安全性を確認する必要が有りますね。


その点は、化学合成薬も一緒で、…実験科学と数理統計学をベースとしたエビデンスを根拠としている限りは、集団免疫や集団防疫の手段で、個人免疫や個人防疫の手段には成りえない…ということだと思い至りました。

現代医学が、戦場医学に由来することが原因として考えられますね。

要するに、ワクチンを打って(少なくとも)抗体が出来るまでの間は感染者でスプレッダー(感染拡散)候補者ですね。ウイルスは直ぐ変異するから新変異株も拡散しやすい。ワクチンは強制的に感染を広げる手段なんですよ、その点を広報していないのが変だなと思います。
そして、PCR陽性者は2週間隔離なのに、なんで新型コロナワクチン接種者は2週間隔離しないのかも疑問です。新型コロナワクチン接種者に(2,3日後)PCR検査はしているのでしょうか?そこで陽性で無ければワクチンの意味は無い(体の免疫系に病原体と同じと認識され無いレベルということ)ですね。
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 例えば、食養で、私は、患者さんには、先ず基本的に「精製品や化学物質を減らし、丸事食を増やそう」と伝えています。これも、A3とA4から、以下のことを考えているからです。

C1:精製品から削られたものにミネラルなど体に必要な物も含まれている、それの欠損が病気を招くこともある(例:白米、ビタミンB1脚気)。そして、そういう関係は分かっているものだけではない可能性もある。

C2:化学物質の危険性は、いま知られているものだけでないかもしれない。特に、複合摂取の危険性は検査すらされていないことの方が多い(欧米などでの「薬剤処方が基本1薬、どんなに多くても3薬」は、この点を踏まえていると思います)。

 ですから、「縄文時代の食(パレオダイエット+穀類,豆類,堅果類,芋類)」〜「精製品や化学物質を使わない時代の日本の伝統食」を基本にしていこうと思っています。

 具体的には、玄米はじめ未精製穀類、豆類、芋類、堅果類、野菜、小さい魚介類や鳥類などの昔からの食材、自然海水塩やそれを原料にした味噌醤油など昔ながらの日本の伝統的調味料、漬物や納豆などの発酵食品を中心に、たまに、お祭り的に大きな魚(鯨やイルカを含む)や羊豚牛も食べるという感じになると思います。ただし、食材は、化学物質や精製品の使用が少ないものを選びます。
 
 
追記:2016.9.22ーーーーーーー
 信仰はアニミズムですが、既存宗教の中では原始仏教が好きです。現代自然科学と矛盾しないからです。それについては、以下の本が詳しいです。

 この本を読む前から、原始仏教って自然科学と親和性が高いなとは思っていましたが、その辺りが見事に説明されています。それで、とても嬉しかったです。
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追記:2017.11.16ーーーーーー
 上記の『犀の角たち』を読んだ感想は、以下に書きました。
『犀の角たち』
http://d.hatena.ne.jp/kuhuusa-raiden/20071108
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追記:A4に関連することは以下に書きました。ーーー
「薬やワクチンの危険、無過失賠責保険は無理!?」
http://d.hatena.ne.jp/kuhuusa-raiden/20160319/1458357812
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ーーー 追記:『鎮守の森』 ーーーーーーー
 宮脇昭著『鎮守の森』の感想は以下に書きました

https://kuhuusa-raiden.hatenablog.com/entries/2009/06/04

 
 特に、p164の
「…一神教がたった2000年で地球をだめにしてしまった…惟一神や人間が中心の教義や思想であったために、他の生き物や自然環境は征服し利用するためのだった…」
には同感です。アニミズムに戻る必要が有ると思います。ヒトができることは森を増やすことぐらいですね。
 もっと言ってしまえば、「一神教は、森を失った民族が、次の森を伐採することを正当化するための教義」に過ぎないと思います。地球が有限で有ることが理解できた時点で捨てられる運命に有るように思います。
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ーーー 追記:20191022 ーーーーー
グレタさんを裏から支える黒幕はグローバリズム推進の1%という話は結構知られてきましたね。

1%によるグローバリズムというのは、アニミズムを捨てた一神教の「なれの果て」ですね。地球が無限に思えた頃の名残でしか有りません。

グレタさんが言うように地球が有限で有ることを自覚するなら、一神教は捨て、アニミズム(地球信仰、地球の自然に畏敬の念を持つ)に戻る必要が有ります。人間が知り得た科学は、地球の自然現象のごくごく一部ということを自覚して。

それを自覚したら、人間が出来ることは、本来の自然環境(原生林やサンゴ礁など)を減らさないこと、本来の自然環境に近いもの(鎮守の森など)を増やすことと言うのが理解できると思います。

今のSDGsは、未だ「人間の知り得たことの方が、地球の自然の自然現象の働きよりも影響力が強い」という一神教的な発想と思いますよ。人間世界の中で何とか出来ることは良いのですが、地球環境に関しては無理が多いように思います。
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ーーー 追記:2019.10.22 ーーーーーー
牛肉食と鯨イルカ食の地球環境的視点での比較は以下に書いています。

「鯨イルカ食と牛肉食」
https://kuhuusa-raiden.hatenablog.com/entry/2019/09/25/150510

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ーーー 追記:2021.12.21 ーーーーー
ですから、私の常備薬は、江戸時代から使われているものです。外郎、妙香散、百草、治打撲一方、桂枝茯苓丸、芍薬甘草湯、葛根湯、麻黄湯など。鍼灸も、江戸時代の文献に基づいた技術を使っています。
 
去年からの新コロ新コロチン騒動でイベルメクチンを知り調べたら、100万単位(実際は10億単位)で実績が有り、40年以上第一選択肢、副作用が少ない、「基本的な免疫力を上げる」から色々な病に効くということが分かったので、40年以上ぶりに現代医学薬を買ってみました。
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ーーー 現代医学関連をまとめると以下、2022.4.10 ーーー
まぁ、単純にサンプル数の問題ですね。遺伝子とその発現が一人一人異なるヒトの集団に数理統計学を適用するには、最低10万出来れば100万サンプルが必要ですね。数百数千のサンプル数では薬害が出て当然。「自然科学的に正しいこと」と「医療が産業として成り立つために正しいとされていること」の区別を付けた方が良いですね。私は40年以上前から予防や日常診療には現代医学を利用せず、救急救命時のみ利用しています。
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この項目のURLは以下です。

アニミズムと自然科学」
https://kuhuusa-raiden.hatenablog.com/entry/20160803/1470179989
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