遊風の養生日記Ⅱ

術伝流の愉癒庵遊風(颶風颯雷電)が、鍼灸操体食養はじめ養生について書いていきます

抗癌剤など新薬の危険性は、賠償責任保険が設計可能かで判断するのが妥当では?

松方弘樹氏の脳悪性リンパ腫について」
http://ameblo.jp/hisayacchi/entry-12135824813.html
 上のブログの著者の気持ちも分かりますが、イレッサの問題なども考えると、著者の言い分(現時点でのビッグデータを駆使して危険性も判断しながら医療している)だけでは済まない気もします。イレッサの問題は、以下を参照してください。
http://www.npojip.org/iressa/iressa.html

私は、大学は数学科で卒後直ぐは保険業界にいましたので、原発もそうですが、現代医療も、賠償責任保険が成立するかどうかで判断する方が良いように思います。自動車は有用ですが事故で人の死亡もあり、それを賠償責任保険で折り合いを付けています。現代医療も、特に新薬など新規治療法は、賠償責任保険を設計できるかどうかで、安全性を確保した方が良いように思います。治療時点で医学的に無過失でも失敗したら倍賞をする、そういう保険が成立するかどうかが、社会全体として見て妥当な判断になりそうに思います。

まぁ、多分、世界の保険の総元締めと言われるロイズも「現状の承認データ程度では、殆どの新薬の賠償責任保険を設計できない」可能性の方が高いから、「新薬の開発は、今よりも大幅に遅れる」可能性の方が高いと思います。でも、その辺り、つまり、「新薬などの賠償責任保険は、保険料が幾らなら成立するか、その保険料を製薬会社や医療機関が払えるか」を明確にしないと、抗癌剤の問題などの論争の決着は付かないと思います。

(保険の数学的基礎は、確率論、統計学、「大数の法則」などですが、そういう視点から見ると、同一民族の同一世代で毎年100万人単位で繰り返す病気に対する疫学は「大数の法則」を満たしますが、それ以下では、厳密な意味では満たさないと考えるのが妥当と思います。そして、新薬などは、「最低10年出来れば30年、有効」で有れば、保険も設計しやすいと思います。次世代への影響のデータも集まるでしょうから。でも、次世代への影響を本気で考慮するなら3世代100年位はいるかな。それで、新薬の開発が不可能なのも理解できますが。)

ちなみに、日本の原発は、ロイズから地震が多いことを理由に賠償責任保険の引受を断られたそうです。

子宮頸がんワクチンを厚労省が再開できないのも、「賠償を払いきれないかも…」というのが、厚労省官僚の頭をよぎるからのように思いますし。

追記:2016.3.19ーーー
関連することを別に書きました。無過失賠責保険は成立しないのかもしれません。

「薬やワクチンの危険、無過失賠責保険は無理!?」
http://d.hatena.ne.jp/kuhuusa-raiden/20160319/1458357812