遊風の養生日記Ⅱ

術伝流の愉癒庵遊風(颶風颯雷電)が、鍼灸操体食養はじめ養生について書いていきます

『老けない人は焼き餃子より水餃子を選ぶ』…糖質制限への疑問、食養的視点から

 糖質制限が疑問で、読んでみました。

p68〜p69に「糖質制限してもAGEは溜まります」「ちまたで人気の「糖質制限でおなかいっぱいダイエット」など試そうものなら、糖質を食べない分、脂質やタンパク質を明らかに摂り過ぎる結果、コレステロール値が上がって心筋梗塞になったり、腎臓を悪くしたりする可能性が跳ね上がります。死亡率が高くなるというデータすらあります。」と明確に書かれています。

「パンより御飯がお勧め」、「外食は和定食がお勧め」、「食事から取るAGEを抑えれば、腹八分目にしなくても長生きできる」(有名な「(アカゲザルの)食事量制限の方が長生き」の研究も、その後の研究で「食事量制限しても摂取AGE量を制限しないと寿命は伸びない、食事量制限しなくても摂取AGE量を制限すると寿命が伸びる」ことが分かったとか)なども。
 著者は、AGE研究25年、AGE関係論文450以上、2003年米国心臓病協会基礎科学部門最優秀賞、2005年日本糖尿病学会リリー賞、2012年日本抗加齢医学会研究奨励賞など受賞、循環器、糖尿病、高血圧の臨床医…とのこと。AGEに関しては、糖質制限食を推奨している医師たちよりも詳しそうです。著者の公式サイトは以下です。
http://www2.ktarn.or.jp/~syamagishi/
 ますます、「糖質制限」よりも、「高度精製物や化学合成物を減らす」方が良いように、改めて思いました。

 繰り返しになりますが、AGEは、食物にも含まれていて、現在普通の日本人が口にしているものでは、洋風肉食に多いようで、伝統的和食では少ないようです。そもそも、肉をステーキに焼いただけでAGEがものすごく増えるってことは、肉の中にも「AGEの糖質部分になる成分」が含まれているようにも思います(輸入米国産牛肉が穀物肥育のためですか?)。生の状態でも米や野菜よりも牛肉の方がAGEが多いようです。
AGE値(ku/100g):牛肉(生):707、牛肉ステーキ(フライパン):10,058、米(生):9、パスタ(ゆで):242、ニンジン(グリル):226
詳しくは、以下を見てください。
http://www.age-sokutei.jp/food/

 糖質制限への疑問について、原始人(狩猟採集民)食的な視点からのものは、以下に書きました。
http://d.hatena.ne.jp/kuhuusa-raiden/20160211/1455186909
(『わたし、解体はじめました』・・・糖質制限への疑問)

 
追記:2016.4.2ーーーーーーーーーーーーーーー
 栄養療法などに手を出す医師が増えているのは、化学合成薬処方のエビデンスが壊れつつ有り、新しい方向を見付けたいという感じなのかなと思います。また、糖質制限など一部の医師の栄養療法が極端になりやすいのは、化学合成薬処方の代わりに栄養療法を使っているからのような気がしています。視野が狭いというか近視眼的というか、そういう感じを受けてしまいます。

 
追記:2016.4.27ーーーーーーーーーーーーーーーーー
 思い出してグリコーゲンのことを調べてみました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/グリコーゲン

「グリコーゲンローディング」http://www.gifuspo.or.jp/kobetu/taikyou/taikyo_ronbun/8/1.htm
 牛肉をステーキに焼いただけでAGE(終末糖化産物)が100倍に増えるのは、筋肉内に含まれるグリコーゲンのせいかもしれませんね。いわゆる糖質制限食をしても糖化を防げないのは、筋肉内にもグリコーゲンという糖質が含まれているせいなんでしょうね。
 そして、「グリコーゲンローディング」には、以下の記述もあり、極端な低糖質食をやめる方法に変化したようですね。
「3日間の高脂肪・低糖質食により、下痢や風邪など体調を崩す危険性が伴い、精神的にも負担が多いと言えます。」
 あと、「骨格筋中ではグリコーゲンは骨格筋重量の1-2 %程度の低い濃度でしか貯蔵できない」とありますので、グリコーゲン以外にもステーキのAGE(終末糖化産物)の糖質部分に成る成分がありそうですね。いずれにしても、糖化を防ぐために糖質制限食をするなら、筋肉や肝臓も食べない方が良いということになりそうですが、何で、そう言わないのかな〜。


追記:2016.5.12ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 「糖質制限」は、「塩分制限」の「二の舞い」かな?

糖質制限」という言葉が余り良くないように思います。「血中濃度の乱高下を防ぐ」、「糖化やAGE(終末糖化産物)を防ぐ」、「先住民など近代化以前の食事を見習う」という視点から出てくるのは、「高度精製物や化学合成物(やGMO)を減らす」ということで、「糖質制限」ではないように思います。

「言葉って独り歩きしやすいので注意したい」なと思う典型例のように感じています。

 陰謀論的には、「高度精製物や化学合成物(やGMO)が多い」食品(肉類など)を隠蔽するためかなと勘ぐりたくなってしまいます。

 過去に似たような言葉に「塩分制限」が有りました。「塩分制限」も本当に必要だったのは「精製塩(NaCl)を減らす」ことだったように思います。「塩分制限」という言葉が一人歩きした結果、高度精製物や化学合成添加物が沢山入った味噌,醤油,調味料や漬物が増えていきました。いま「糖質0」の「第3のビール」などを見ていると、やはり化学合成添加物が沢山ですね。

化学合成物や高度精製塩(NaCl)を使わない,自然海水塩を使った,昔ながらの作り方の味噌醤油や漬物や、麦とホップだけが原料のビール系の方が、体には良いと思うのですが、歴史は繰り返すしか無いのかな〜という感じです。


追記:2016.5.15ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(日本人は、)米など炭水化物を食べると、腸内細菌が発酵させて水素ガス(や炭酸ガス)を発生させてくれるそうですね。

還元力の有るとか言う水素水を飲んでも胃酸で中和されるし、胃が中和されて殺菌力が低下することを考えても、炭水化物を食べて腸内細菌に水素を発生してもらう方が合理的ということかな?

「日本人・長寿の鍵は腸内細菌とご飯=体内水素」
http://blogs.yahoo.co.jp/dokutorukachian/40326699.html

 
追記の追加:2016.5.15ーーーーーーーーーーーーーーーーー
疫学的には、正反対の意見が有って当たり前なんです。「大数の法則」を満たさない限り、全て説に過ぎません。各学会の標準治療にしても、その時点での定説(仮設の中で最も確率が高そうなもの、裁判で負けにくそうなもの)に過ぎません。

 そして、一卵性双生児でない限り、遺伝子的にはヒトは同じではありません(食生活など生活環境も同じではないです)。つまり、「大数の法則」に適(かな)ったとしても、それが自分自身に適合するとは限らないのです。何故なら「大数の法則」というのは、あくまでも検査対象が全て同じ物を前提にしているからです。

 私達人間一人一人は動物で、私達人間一人一人の体は自然です。自然の営みの内で、人間が科学的に理解できたことは、ほんの僅かという点は、いつも頭に入れておいた方が良いように思います。

 興味の有る方は以下を読んでみてください。
ーーーーー
 大学で数学を専攻したものとして、以下の部分は、その通りだと思います。
 「論文や統計学は証拠にはならない
 我々は論文の信用度を示す時に、統計学を用いるしか手段がない。つまり統計学は病気の原因と症状を結びつけるためのデータとして用いられるわけだが、本来、統計学は「因果関係について述べてはいけない」ことが原則の学問である。そのことは学識者ならば知っていて当然なのだが、統計学以外に信用度を示すことができるものがないという状況から、統計学で相関を証明すれば「因果関係について語っても許される」ことが暗黙の了解になっている。暗黙の了解は非科学的であり「やってはいけないこと」なのであるが世界中の学識者がやってしまっている。」

 特に、同一民族同一世代で100万人単位で10年以上の継続研究でない疫学研究は、「大数の法則」を満たしているとは言えません。年齢変化の影響を考慮するためには50年以上、世代間の影響を考慮するためには100年以上の継続研究が必要です。

 ですから、生死(重篤な後遺障害)に関する救急以外では、新薬や新治療は少し様子を見た方が良いかなとも思います。

骨粗鬆症治療薬で顎骨壊死を引き起こすの真偽」
http://www.nanbyo-study.jp/?page_id=393

 
追記:2016.6.18ーーーーーーーーーーーーーーーー
糖質制限は、肝臓での毒物代謝の面からも危険という視点からの記事を2つ見付けました。
ーーーーー
「炭水化物の制限は危険です!糖質(炭水化物)の制限は絶食と同じ」
http://www.eps1.comlink.ne.jp/~mayus/lifestyle2/Dangeroflowcarbohydrate.html
「炭水化物を制限すると肝障害が起こる、脂肪肝脂肪肝炎→肝硬変→肝がんに進展する危険性が高まる」ラットの実験結果から、そのメカニズムが解説されています。
・・・
糖質制限で飲酒は危険」
http://www.eps1.comlink.ne.jp/~mayus/lifestyle2/Dangerofalcohol.lowcarbohydrate.html
糖質制限で飲酒は危険」、「飲み会のシメには、茶漬かオムスビを」という話、酒を飲んだ後に体が必然的に炭水化物(糖質)を求めるメカニズムが解説されています。
 
追記:2016.6.19
糖質制限で飲酒は危険、飲み会のシメには茶漬かオムスビを」と同じ著者の「糖尿病には、炭水化物食と運動」という記事です。この記事が本当なら、糖尿病にならないためにも糖質を多く摂る必要がある、糖質制限は危険ということになりますね。
(追記:ただし、血糖値を乱高下させやすい「高度精製糖質(白米、精白小麦、白砂糖)」や「化学合成糖質(人工甘味料)」は減らした方が良いとは、思います。)
 
…炭水化物の少ない食事によってインスリンの働きが悪くなる…
 「…炭水化物を摂ると血糖値が上がってインスリンが分泌されることは間違いのない事実…糖尿病の専門家…も、炭水化物の多い食事によってインスリンの必要量(=分泌量)が増えると思って…真実は正反対…炭水化物が多く蛋白質と脂肪が少ない穀物中心の食事をしていると…たくさんのインスリンを必要としない…炭水化物の多い食事によってインスリンの働き(効き目)が格段によくなるから…炭水化物の少ない食事によってインスリンの働きが格段に悪くなる…」
 
…日本人はもともとインスリンの分泌能が低い…
 「…炭水化物の多い食事をしていた昔は少量のインスリンで十分間に合っていた…日本人のインスリン分泌能は欧米人の半分程度…炭水化物の少ない食事を摂っている今どきの日本人ではその必要量が増…最近の日本人の膵臓は疲れ…限度いっぱいにインスリンを分泌…やがて膵臓が破綻…これが日本人の糖尿病…日本人が…肥満体でなくても糖尿病になりやすいのは…もともとインスリン分泌能力が低いから…」
 
…スーパー炭水化物制限食は大昔の厳重食餌にそっくり…
「…大正から昭和の日本で、糖尿病患者に厳重食餌(極端な炭水化物制限食)が処方…炭水化物が12%…江部先生のスーパー炭水化物制限食と同じ…そのうち、多量の蛋白質の弊害が明らかとり、毎食一杯程度の米飯(150g)を与えたほうがよいということになって、やがて厳重食餌は廃れ…」
http://www.eps1.comlink.ne.jp/%7Emayus/lifestyle2/lowcarbohydrate.html
 
 
追記:2016.6.24ーーーーーーーーーーーーーー
「全粒食物は、糖尿病リスクも下げる」という糖質制限派とは逆の研究が出てきました。

英国ですので「全粒穀物の摂取量は、90gを3食分(1食分は全粒パン1枚、または全粒シリアル1ボウル、または全粒ピタパン1.5枚など)」とありますが、日本なら玄米や蕎麦粉(挽きぐるみ)も入るでしょう。

記事中に、「全粒穀物の摂取量の多さと、2型糖尿病、心血管疾患および体重増加のリスク低下が関連することが示唆されていた」と書かれていて、英国では以前より「全粒穀物の摂取量の多さと、2型糖尿病のリスク低下」の関連が知られていたようですね。

http://www.carenet.com/news/journal/carenet/42174?utm_source=m1&utm_medium=email&utm_campaign=2016062000

追記:2016.7.6ーーーーーーーーーーー

1.「うまい」と感じる食物は、体が欲している。(体に合った漢方薬は美味しく感じる)
2.食後に「ねむい」のは体を休めるため
3.老化の原因は、単なる食べ過ぎ
4.人類が炭水化物を主食にしてきたのは、歯を見れば明らか
5.空腹時や運動時に備えて糖を摂取すべき(カーボ・ローディングですね、筆者追記)
6.癌細胞だけでなく、人体の全ての細胞は糖で生きている
糖質制限→タンパク質脂肪の増加
飽和脂肪酸や塩分の増加,食物繊維ビタミンミネラルの不足,尿素増加から腎臓負担増加,"アミンなどの増加"や"ケトン体のエネルギー源化"から肝臓負担増加,
脳卒中,心筋梗塞,腎機能障害,肝機能障害の増加

まぁ、私には、やっぱり、こちらの考え方の方が無理がなく、自然に思えます。まぁ、高度精製物や化学合成物は減らし、丸事食を増やした方が良いとは思いますが。

追記:2016.7.13ーーーーー

「全米の医学界・栄養学界・製薬業界を震撼させた、歓迎されざる大ベストセラー「THE CHINA STUDY」を完訳。 「栄養学のアインシュタイン」と称される世界的権威が史上空前の疫学大調査をもとに著わした、衝撃の事実。科学が立証する「食と病気」の真実とは。
日本語版刊行以来、ロングセラーを続けていた『葬られた「第二のマクガバン報告」』(上、中、下)三部作を完全収録。お求めやすい価格で、一冊になって、新登場!
真実の「食」こそ、最高の名医。食べ物が人生を決める。症状を改善し健康を維持することは、なんと簡単なことだったのか。 ガンに苦しむすべての人、そしてあらゆる生活習慣病から解放されたいすべての人に贈る、希望の一冊!
「疫学研究のグランプリ」とニューヨーク・タイムズが絶賛した史上最大規模の「チャイナ・プロジェクト」(栄養調査研究)は、すでに生活習慣病の元凶をはっきりと暴き出していた。「栄養学のアインシュタイン」と称される世界的権威が、史上空前の疫学大調査をもとに下した衝撃の結論とは。
先進国の人々が悩み苦しんでいる心臓病、糖尿病、肥満、骨粗鬆症、ガン、自己免疫疾患などの生活習慣病が見事に改善! 精緻な科学的裏付けによって浮き彫りにされた「驚くべき真実」と「覆された常識」の数々―。
ガンを撃退する「栄養学の金字塔」、合本版で新登場!」
「コリン・キャンベル博士が提唱しているのは、“低脂肪でホールフードのプラントベースの食事”」
 う〜ん、癌についても、未精製の穀菜食が良いと言う大規模研究が既に出ているようですね。

追記:2016.7.26ーーーーー
 江部先生の糖質制限療法で「検査結果に影響を与える物質の取得を制限すれば、検査結果は改善し、インシュリンの投与量も減らせる」でしょう。しかし、それで「糖尿病の改善が可能かどうかは、標準療法と大差が無さそう」ですし、「食事のバランスの取りにくさは、標準療法以下」のように思います。
 そして、医療界全体で導入した塩分制限と違い、糖質制限は一部の医師の主張であり、悪影響が判明した場合は、主張した医師達だけが非難されやすいように思います。糖質制限派の「人類の食性が肉食」や「ケトン体が人類を救う」なども、各専門分野の研究者の同意を得られにくい主張と思いますし。
追記:この辺りの自然科学的合理性については別に書きました。
アニミズムと自然科学」
http://d.hatena.ne.jp/kuhuusa-raiden/20160803/1470179989
また、「人類の食性が肉食」への疑問は、以下の方に詳しく書いています。
http://d.hatena.ne.jp/kuhuusa-raiden/20160211/1455186909
(『わたし、解体はじめました』・・・糖質制限への疑問)

追記:2016.9.22
FBの栄養学関係のグループから、「グルテンフリーでは、穀物肥育の牛乳由来の乳製品もダメ」と言う情報が入ってきました。

(追記:
http://gltnfree.org/blog/lectin/

「小麦農業開始以前の野生動物や近代化以前の畜産動物と、現代畜産の違い」にも目が向いたのは良いことだと思います。しかし、それなら、穀物肥育の家畜の筋肉もダメなのではないのかな?カーボ・ローディングされているはずなので。その辺りの研究は、どうなっているのでしょうか?
大雑把には、乳は「血液から赤血球を除き脂肪を混ぜたもの」、血液は「体液に血球を混ぜたもの」、筋肉には「体液も血液の一部も肉汁として含有」ですから。

それと、もう一つ疑問なのは、植物と動物の関係は、現代では、弱肉強食と言う面よりも共生という面の方が大きいと考えられているように思います。つまり、食べてもらうことで、種が拡散されたり、糞で栄養を得たり。

(追記:レクチンだけ取り上げると出てくる作用に拮抗する作用が全粒穀物には含まれているはずで、そうでないと、動物も植物も共存共栄できないという考え方です。麻黄とエフェドリン、コカの葉とコカインなどと同じような関係ですね。)

一頃は、植物のファイトケミカルも動物には有害という説が出たと思いますけど、今は、人間にとっても貴重な栄養源で、積極的に取るように勧められているようですし。

なんとなくではありますが、「グルテンフリー」というのは、遺伝子組み換えで害が増えたことに対する隠蔽として出てきた説のような気がします。NaClだけになった塩の制限を塩分制限と宣伝し、自然海水塩なら良いことを隠し、市販の漬物、調味料、惣菜に化学合成物や高度精製物が増えていったのと同じように。今「糖質ゼロ」を歌うビール系飲料にも化学合成物や高度精製物が多いですね。

追記:2016.10.10
グルテンフリーダイエットのマイナス面を言う医師も出てきましたね。
グルテンフリーダイエットが健康に悪影響をおよぼす!?/ハーバード大学・大西睦子博士」
http://blog.goo.ne.jp/1shig/e/4793b1b2834d29cb286e11a3c9c44ff7

追記:2016.10.10
  今の科学の範囲では、地球上の生物のルーツは1つで、分散進化して、色々な動植物になっているということですね。

 ですから、可能な限り生物を丸事全部食べていると、生物に必要な栄養素を(微量栄養素を含め)摂取できるという風に考えるのが、「高度精製物や化学合成物を減らし、丸事食を増やす」ということの基礎になっているように思います。

 「自然現象の中で、人間が科学的に解明できた」ことは極々僅かだと思います。それも、丸事食の根拠の一つと思います。「自然現象の中で人間が科学的に解明できたことは、極々僅か」という点については、興味が有れば、以下を読んでみてください。
アニミズムと自然科学」
http://d.hatena.ne.jp/kuhuusa-raiden/20160803/1470179989

追記:2016.11.17(この件は別記とダブりますが)
 ようやく「人類の食性は肉食」説のネタ元が見つかりました。
以下のようですね。しかも、米国でも進化生物学者から明確に反論されているようですね。
「炭水化物」は人類の敵なのか、味方なのか…「糖質制限ダイエット」巡り激突する2冊の本
http://toyokeizai.net/articles/-/62304
 私としては、米国のネタ元も、米国での反論も分かったので、この問題も一区切りは付きました。
 ポイントは、
 (1)血糖値スパイクに代表される血中濃度の乱高下が精製物や化学合成物に由来すること、未精製炭水化物では起きにくく血中濃度が安定しやすいこと、
 (2)旧石器では、小型獣を越えた獣は骨髄を含め狩猟屠殺解体が主食にする程は難しいこと(米国のパレオダイエットは、その辺り踏まえて、農業由来の穀豆だけでなく牧畜由来の中型以上獣も否定していますね、もっとも現在の研究では20万年〜の現生人類ではどちらも農業牧畜以前から利用していた可能性が高いことが分かっていますが)、
 (3)日本に流通する牛豚の肉は大半が穀物肥育でグリコローディングされ糖質フリーでは無いしグルテンフリーでも無いし、ホルモン類似物質など他の精製物や化学合成物の残滓も多いし、食べ方の問題で質的栄養不足(や特定栄養素過剰)を招きやすいこと(日本での糖質フリー獣肉で値段が手頃なのはイルカ・クジラ類、薄切りして冷凍物を流通させれば良い)、(追記:できれば、タンパク質・脂質も、小さな魚介類や豆穀類や堅果(ナッツ)類を未精製のまま丸事食べる方が、質的栄養不足や特定栄養素過剰を招きにくいように思います)
の3つ位かなと思います。
 それ以上に心配しているのは、もう既に進化生物学者や人類学者が指摘しているように、医師の自然科学リテラシーが疑問視され、医療全体への信頼が大きく損なわれる可能性が高いということです。弁護士さん達の次の食い扶持が何かも気になりますし。
 
追記:2016.11.19(この件も別記とダブりますが)
 まぁ、白砂糖の害(や昆布と味の素の違い)は、食養の世界では高度経済成長以前から言われていますし、20代前半で虫歯になったことで20代後半から気を付けるようにしてました。血中濃度急上昇急降下は20年以上前の鍼灸学校在学中に薬理学などで習っています(麻黄とエフェドリンの関係・薬の切れ味・麻薬性・相撲取りの太り方・健康的痩せ方などと合わせて)し、その頃から「精製物や化学合成物を減らし丸事食を増やす」ことは自分でもしていますし、患者さんにも伝えてきました。
 糖質制限ブームの可笑しさは、糖質以外の精製物や化学合成物を問題にしないこと、日本で流通の牛豚肉・牛乳などが糖質フリーでも無くグルテンフリーでも無く精製物や化学合成物も多いことを言わないことかな〜、食養的視点から見ると。
 
 追記:2016.11.21(この件も別記とダブりますが)
 白砂糖と黒砂糖、白米と玄米、精白粉と全粒粉、NaClと自然海水塩、サラダ油と原料穀物(ナタネなど)、ラード(ヘット)と豚(牛)、ロース肉と豚(牛)、"味の素"と昆布、蛋白加水分解物と原料動物、エフェドリンと麻黄、これらは全部同じ関係だと気が付いてほしいなぁと思います。前者は精製物(や化学合成物)、後者は素材丸事。前者は、血中濃度乱高下や質的栄養不足や特定栄養素過剰を招きやすいが、後者は招きにくいという基本を理解してほしいなぁと思います。

追記:2016.11.22(この件も別記とダブりますが)
 私も「化学合成薬を少なくし食養を活用」、「人類の食物史(特に旧石器時代から近代改善の各地各民族の食事)を活用」の2点では、人類肉食説・先住民食・糖質制限の人達と同じです。でも、その専門家達、特に実験考古学などで再現しようとしている人達の見聞や、自分が可能な範囲でした狩猟採集農業の経験を振り返ると、結論は「精製物や化学合成物を減らし、丸事食を増やす」になります。それが近代化以前と以後、特に、ここ数十年とそれ以前の大きな違いですから。日本に限らず、世界中で。
  それで、検討を重ねれば重ねるほど、人類肉食説・先住民食・糖質制限は、「化学合成薬を少なくし食養を活用」、「人類の食物史(特に旧石器時代から近代化以前の各地各民族の食事)を活用」の2点から見ると、実践しにくい異常な説に見えてしまいます。11.21に書いたように、どうしても部分食・精製物・化学合成物が増え、バランスが取りにくいし、AGEも増えるし、と思いますので。

追記:2016.11.22−2
FBで拾ったものーーーーーーーーーー萩原 敦さんよりーーーーーーーー
「低インスリン」新井先生の提言についての考察 :
・・・・・
「極端な糖質制限」ということばが、巷では踊っていたようである。そもそもこの「糖質制限」というのは、ある種の「手段」であり「方法論」である。本質的な「目的」が「糖質制限」ではないのである。ある人には、「糖尿病予防」。ある人には、「糖尿病の食事療法」。ある人には、「ダイエット」。ある人には、「健康増進」。ある人には、「不老長寿」。それぞれの目標達成のための手段の一つが「糖質制限」なのである。このように、この「糖質制限」は、事実上、実践者の目標によって、様々な顔を持っている。したがって、10人10色の理解があって当然だろう。
その結果、「糖質制限」ということばが、どんどん独り歩きして、罠に陥る危険性もある。さて、本質的に「手段」や「方法論」だけを取り出して議論すること自体、無意味で愚かなことは
ないであろう。
 たとえば、ある会社の売上を増大させるために、
愚かな経営コンサルタントが仕事を引き受けたことがある。このコンサルが指示したのが、「営業マンの一日の訪問件数を現在の5件から、倍の10件にせよ!」という愚かしいコンサルティングだった。あろうことか、その後、その会社の売上はどんどん減った。詳細は省くが、営業マンが無意味に訪問件数をあげて、中途半端な商談をしまくったため、受注が激減したのである。
 このように、「目的」を無視した「手段」だけを取り出して戦略を練っても議論しても意味がないことを過去の歴史が示している。この場合、営業マンが売上を上げる至上命令を忘れ、訪問件数だけを稼ぐことを至上命令勘違いし熱中した愚かさと、こんな愚かなコンサルティングを指示したコンサルの愚かさが相乗効果をうみ、売上減少を招いた愚かなコンサル例だが、これは、「手段」が(営業マンの訪問件数のアップ)「目的化」した典型的な悪い事例である。本来は売り上げの増が目的なのに訪問件数アップを目的にすり替えてしまったのである。これを世間では手段の目的化という。
 糖質制限もこれとそう違わないのである。糖質制限が目的ではなく糖質制限をおこなう人達、それぞれの個々の目標があるのである。それに迫ることなくして、糖質制限と言う言葉だけが踊り、独り歩きする現状を憂う。
 そんな中、新井先生が、ある種、普遍的でかつ具体的な目標を提示しれくれた。「低インスリン」である。これは「手段」ではなく「目標」である。健康になりたいとか老化を防止したいとか、抽象的な目標ではなく、その人の生体の中の具体的な目標である。ご存知のように「低インスリン」が、不老長寿を約束することは、線虫の実験で証明済みである。さらに、知性と良識と人間性に優れた人格者なら、「低インスリン」の正しい意味を理解し、己の身体を、「低インスリン」にするには、どうすればいいのか? 食、飲、生活習慣、ストレス、睡眠状態、医薬品の服用、過労、頑張り過ぎ等について個々に思索し、己の力で目標の低インスリンを実現できるであろう。巷のレトリックに翻弄されることなく、その人なりの不老不死、不老長寿を謳歌できるのである。健康になるには、まずは知性、良識、それなりの人間性や人格が、必要なのである。巷に蔓延る愚かな健康オタクが、なぜ、揃いもそろって不健康なのか?彼らには知性のかけらもない、ただただ、権威の偽健康情報に騙され不和雷同しているだけである。このように、知性、良識、人間性や人格等の資質に欠けた人は、おおよそ、健康な人生を歩むことは不可能だと思う今日この頃である。
ーーーーーーー
 「糖質制限は手段に過ぎない」は、その通りですね。
 でも、私には、「低インスリン」も指標の一つに過ぎないように思います。体全体のバランスの中で恒常性を維持する、そのために血中濃度はじめ急激な変動は少ない方が良いことが多いということに過ぎないように思います。
 (1)(潜在的な歪みである)未病を意識し普段から恒常性が維持しやすい暮らしをし、小さな発作(病)の時に歪みに気付き、発作以前よりも生命力高くバランス高くなるように養生する
 (2)そのために、体の勘を磨き、自然科学的合理性や各分野の専門知識も利用する
・・・・・・・・・・以上2点が、私の基本です。
 でも、まぁ、人類肉食説・先住民食・糖質制限の可笑しさを指摘する人が増えているのは、良いことと思います。
 
追記:2016.11.24ーーー自然派医師・本間真二郎先生の意見
「小麦やグルテンフリーについて」
http://ameblo.jp/rutorl/entry-12198353556.html
グルテンフリー、カゼインフリー、ラクトースフリー、パレオダイエット、糖質制限食・・・極端な食事法が次々と流行していますが、どう考えたらよいでしょうか?
昔はなかった食事法が正しいのなら、なぜ昔の人は病気にならなかったのでしょうか?
枝葉の理論や理屈をたくさん集めると、自分の都合の良いようにどのようにでも結論を導けることにも注意したいですね。」
 良いまとめだなと思いました。
 
追記:201612.31ーーー糖尿病の初めと終わりから
 糖尿病の最終形態は透析ですね。つまり、腎臓機能の代替です。初めも腎臓機能低下に因る尿に糖などが漏れてしまう状態、つまり、腎臓の機能低下、要するに、腎臓が疲れたことが原因のように思います。
 腎臓でしか排泄出来ない栄養素はN(チッソ)ですね。尿素という形で。炭水化物のC(炭素)、H(水素)、O(酸素)は、呼気、汗などでも排泄可能なのに比べて。
 その点から考えても、糖尿病症候群(シンドローム)に、腎臓の負担を増やす(Nの排泄を増やす)蛋白質過多は向いていないような気がしますが、如何でしょうか?
 密教修験道系の修行に蛋白質を徹底して減らす食事法があったと思います。小便を出来るだけしないことも修行手段にしているためと聞きました。
 以下の「三昧耶戒」の「支分の十条」のうちの「後ろの五条」の「水香」のためかなと思います。
「…水香(すいこう:供物の場合は「サフラン水」、生理現象を表す場合は小便)を捨ててはならない。」
https://goo.gl/frbmmU
 
追記:2017.01.06ーーーーー
(1)「腸科学」ジャスティン・ソネンバーグほか著、鍛原多惠子訳
「…炭水化物をしっかりと取ること。微生物のエサとなる炭水化物が不足すると、彼らは腸壁の粘液層に含まれる栄養を吸収するようになる。すると、腸壁が薄くなって荒れ、有害な微生物が増えるリスクも高まる…」
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/195979

(2)来年、糖尿病の新規受診者が倍増する
「あなたは糖尿病(疑い)ですが、医療機関を受診していません。糖尿病を放置すると透析、失明、下肢切断などになってしまうので医療機関を受診してください」
 …陰謀論的に考えると、糖質制限ブームは、この糖尿病疑い受診勧奨への布石かもしれませんね。「糖質制限蛋白質過多→N(窒素)排泄のため尿素増加で腎臓負担増大→腎臓疲弊→糖尿病予備群」のようですから、このブログ記事で紹介した上記の山岸昌一先生や石原結實先生の本によれば。まさかとは思いますが。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/special/sped/1612cvm/201612/549392.html?n_cid=nbpnmo_mled
 
 

追記:2017.02.16:腸内細菌の視点からも糖質制限は止めた方が良い

本間真二郎先生「腸および腸内細菌の状態が人の健康にとって最も大事〜糖質制限は今すぐやめましょう!〜」

「…腸内細菌のほとんどは大腸におり、主要な栄養源は糖質であり、タンパク質や脂質ではない。ゆえに極端な糖質制限をしてはいけないということです(とくに日本人は・・・)
 …多糖類(いわゆるデンプン)はゆっくりと吸収され、大腸下部まで届き、腸内細菌の主要な栄養源に…特に消化の悪い未精製な穀物(米、イモ、豆)が腸にとって最もよい栄養源…
 …水溶性の食物繊維は、腸内細菌は消化でき栄養源に…人が利用できないので大腸にまでたくさん届き…
 …腸および腸内細菌の状態が人の健康にとって最も大事です。
糖質制限食はこの腸内細菌をまったく無視した食事法…
 …糖質制限食(ケトン食、低インスリンロカボ、MEC食なども同様)が最新の理論を駆使したあたかも素晴らしい健康法であるという情報が氾濫しており、実際に実践している人や指導をしている人がとても多い状態…推奨している意見も含め網羅的に情報を検討しましたが、糖質制限食は、ごく一部の非常に限られた人以外、とくに日本人には全くお勧めできない食事法…」

http://ameblo.jp/rutorl/entry-12248240793.html
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追記:2017.03.11 糖質制限ブームは過ぎた!?
「…一般的には我々日本人は野菜、魚、海藻などを中心とした和食が適していると思われ、できればご飯は玄米食にした方が健康に寄与することが琉球大学第二内科の研究でも証明…一部の医師が推奨しているような炭水化物は一切摂取せず肉と卵となにかだけ食べればよい、という極端なダイエット法は体重減少効果はあるものの、長期的効果は疑問で適切ではないと思いますし、そのような食生活は食事の楽しみも味わえず長く継続するのは困難…(上江洌良尚先生 うえず内科クリニック)………「糖質制限食」もこれまでのダイエットと同じで、極端な主張はマスコミも取り上げ話題になりやすいですが、実践者が増えて時間が経つと、痛い目を見た人が多くなり、ブームは冷めていく。痛い目を見た患者を目にする医療者も発言を始める…まさに、この記事はその一つ…私のブログにも過激な投稿をした人たちが随分いました。おそらく9割り以上の人はすでにやっていないでしょうね。随分、静かになってきました…(幕内秀夫先生)」

http://ameblo.jp/makuuchi44/entry-12255312188.html
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追記:2017.09.05 ガンと糖質制限=ケトン食 ーーーーー
 「…蛋白質の取り過ぎ→1.窒素の多量排泄のため腎臓が疲れて腎不全へ、→2.血中アンモニア増加で細胞環境が悪化し癌化促進」という点を指摘するなど、読み応えが有りました。以下、その部分を抜書きしました。
「…極端な糖質制限は、タンパク質摂取量が増えるために、高額なサプリにでも頼らない限り、必然的に脂質摂取量も増えます…タンパク質・脂質が多過ぎる結果、糖を作った後にアミノ酸に結合していたアミノ基が余分になりますから、それをまずアンモニアに変え(上の写真の左上)、最終的にそれを尿素に変え、その何割かを腎臓から尿として排泄します(上の写真の右下)…これを長期間続けると、腎臓にかなりの負担がかかり、将来的に腎不全となり人工透析が必要となります…そして余分なアンモニアが血中に増えて、血液環境が悪くなると、細胞は更に苦しくなって癌化が促進されやすくなります…つまり体内がこの過酷な環境になった時、正常な細胞は生きていくのが苦しくなるので、癌細胞として生まれ変わります…」

「癌はブドウ糖のみを栄養素とする!って本当?、糖質制限で末期がん患者の8割が改善!の記事について」
https://ameblo.jp/hisayacchi/entry-12223638394.html
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ーーー 追記:190504 ーーーーーーーーーーーー
ついに、日本酒やワインが糖化を防ぐ説まで出てきました。ますます、高度精製物や化学合成物を減らす方が養生としては良いように思いました。

「日本酒やワインが、老化の元凶「糖化」を抑える!?」
gooday.nikkei.co.jp
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ーーー この項目のタイトルとURLは以下 ーーー
「『老けない人は焼き餃子より水餃子を選ぶ』…糖質制限への疑問、食養的視点から」
https://kuhuusa-raiden.hatenablog.com/entry/20160303/1456968143
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