遊風の養生日記Ⅱ

術伝流の愉癒庵遊風(颶風颯雷電)が、鍼灸操体食養はじめ養生について書いていきます

『薬なしで生きる』

 1990年代から始まった、薬をのんでいる人とのんでいない人を長期間大規模に比較するという、新しいスタイルの研究の結果、多くの薬はのんでものまなくても寿命に差がなく、中には検査データはよくなっても寿命が短くなる薬もあったという。

薬なしで生きる ~それでも処方薬に頼りますか~ (tanQブックス)

薬なしで生きる ~それでも処方薬に頼りますか~ (tanQブックス)

  • 作者:岡田 正彦
  • 発売日: 2009/12/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

  • 風邪薬、鎮痛剤として使われるアセトアミノフェンを生涯500g以上のんだ人は、まったく使わない人にくらべ、慢性腎不全になる確率が3.3倍高い。1回0.3g〜0.5g1日3回が普通なので、1日最大1.5g。鎮痛剤としてアセトアミノフェンを常用している人には、500gは、けっして多すぎる量とはいえない。
  • 総合感冒薬にふくまれる抗ヒスタミン剤には、多くの副作用があるが、効き目もほとんど認められない。
  • 胃腸薬のプロトンポンプ阻害剤を1年(4年)以上のみつづけると、骨粗鬆症になる確率が22%(54%)高まる。
  • 血圧の薬のサイアザイド系利尿薬をのみ続けると、脳卒中による死亡はわずか減るが、心筋梗塞による死亡は増えてしまい、寿命が延びることはけっしてない。
  • LDLコレステロールを下げる薬のプラバスタチンとシンバスタチンは、10年以上のみつづけると、心臓病と脳卒中を予防するだけでなく、寿命も延びた。シンバスタチンは、ガンも減少させた。長期間大規模比較研究で、寿命が延びることが証明された薬は、あらゆる分野を通じて、この二つだけ。(この本は2009年末の発行です)
  • 中性脂肪値を下げる薬は、どれも脳出血などが増えてしまう。
  • ガンを治す薬はない。進行癌では、1年後の生存率は改善しても2年後の死亡率では逆転したりする。
  • 健康な細胞とがん細胞が(薬の作用から見て)ほとんど紙一重…健康な細胞まで傷付けてしまい…さらに深刻なのは、強すぎる刺激によって新たなガンが発生してしまう…
  • 厚労省が定める抗がん剤の認可基準「20%以上の患者で、腫瘍の面積が半分以下に小さくなり、その状態が4週間以上続くこと」…世界中の論文を調べた限りで言えば、本当の意味で延命効果が認められる抗がん剤は一つもありません…
  • 早期ガンに相当するような変化は誰にでもあって、そのまま放置しても大きくならないだけではないでしょうか。
  • 薬にたよらないで病気を予防する。
  • ガンの予防:タバコ、紫外線、汚れた空気、ホコリ、スプレーなどの発ガン物質をさける。塩分摂取量を1日10g以下に。BMI26以下に。毎日運動。野菜果物で抗酸化物質を。脂肪を摂り過ぎない。過度なアルコールを控える。レントゲン検査をなるべく受けない。
  • 糖尿病の予防:バランスよく食べる。よく煮込んだものより調理にあまり時間をかけないもの、パンよりご飯、お菓子よりも果物を選ぶ。
  • 高血圧の予防:塩分をすくなくする。ストレスをすくなくする。
  • (追記)ピロリ菌と胃がんの相関関係は有るが、因果関係が有るとは証明されていない、「胃酸過多の人は、胃腸の病気になりやすく、また同時にピロリ菌にも感染しやすいだけ、ということではないでしょうか」(p64) 

などなど。

追記:抗ガン剤の認定基準(p152)
「20%以上の患者で、腫瘍の面積が半分以下に小さくなり、その状態が4週間以上続くこと」
 ーーー 追記の追記:2020.01.24 ーーー
 定量自然科学的には、「(4週間服用したら)少なくとも90%以上の患者で、腫瘍の面積が90%以下に小さくなり、その状態が(服用しなくなってから)10年以上(少なくとも1年以上)続き、しかも、大きな副作用が無いこと」を認定基準にした方が良さそうに思います。
 普通人の普通の感覚でも、効果や安全性は、そういう風に思ってしまうのが当たり前ではないかとも思いますし。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
追記:2017.10.28 ーーーーー
同じ著者の以下の本も良かったです。
『医者の私が、がん検診を受けない9つの理由』
http://d.hatena.ne.jp/kuhuusa-raiden/20171028/1509147135
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
追記2:以下、アマゾンの『薬なしで生きる』の内容紹介です ーーー
…内容紹介
昔はあきらめていた命も、今では新薬の登場で助かるようになったといいます。しかしこの常識が次々に覆されてきているのです。大規模に行う新しい調査法によって、病院で処方されている殆どの薬は、のんでものまなくても、寿命に差がないことがわかってきたのです。なかには効果自体が疑わしかったり、むしろ短命になったという恐ろしい薬さえあります。本書は、そのような驚きの結果を紹介するものです。単にセンセーショナルにとりあげるような偏った内容ではなく、著者が20年の歳月をかけ、いろいろな分析した結果です。

内容(「BOOK」データベースより)
飲んでも意味がなかった。常識をくつがえす新事実。

著者について
岡田正彦 (おかだ・まさひこ)
1946年、京都府生れ。新潟大学医学部卒。1990年より同大学医学部教授。医学博士。専門は予防医学、医療統計学。米国学会誌IEEE Transactions on Biomedical Engineering副編集長、学会誌「生体医工学」編集長などを歴任。2002年、臨床病理学研究振興基金「小酒井望賞」受賞。『医学・生物学のためのデータ解析入門』(コロナ社)、『人はなぜ太るのか』(岩波新書)、『がん検診の大罪』(新潮選書)、『医療機器が一番わかる』(技術評論社)など著書多数。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
岡田/正彦
1946年、京都府生れ。新潟大学医学部卒。1990年より同大学医学部教授。医学博士。専門は予防医学、医療統計学。米国学会誌IEEE Transactions on Biomedical Engineering副編集長、学会誌「生体医工学」編集長などを歴任。2002年、臨床病理学研究振興基金「小酒井望賞」受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーー 追記:2021.05.27 ーーー
そうですね。

それに、複数人に実験した結果と数理統計学で、化学合成薬の有効性と安全性を検証している限り、集団防疫の手段で、個人防疫の手段では無いですね。

個人防疫のために開発するとしたら、その個人の遺伝子からクローン(同一遺伝子のもの)を1万体作り、そこで、有効性と安全性を確かめますね。それが、自動車や家電を作り有効性や安全性を確かめる時の方法です。自動車や家電は、設計図が同じですから。ヒトは、設計図(遺伝子)が一人一人違うし、遺伝子が同じ一卵性双生児でも環境での遺伝子発現が違うので同じでは無いですね。

それは、ワクチンも同じで、集団免疫の手段で、個人免疫の手段では無いですね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー