遊風の養生日記Ⅱ

術伝流の愉癒庵遊風(颶風颯雷電)が、鍼灸操体食養はじめ養生について書いていきます

『しがみつかない生き方』

 題名に引かれて読んでみた。内容は、ほぼ予想通り。おもしろかったのは、以下。

  1. 公的サービスに頼らなくても、どうにもならなくなったヒトをどうにかする、ゆるやかな助け合いシステムがなくなってしまった。フルタイムで働き続けられなければ、あっという間にホームレス、そして孤独死が近づいてくる。
  2. 恋愛のように正否が相手にかかっているものよりも、自分の努力で手に入る成功のほうが貴重なんだ。
  3. 自己自慢競争の成果主義は、人の道に外れているだけでなく、経済的経営的観点からもマイナスの面が見えてきた。(宮沢賢治「みんなにでくのぼーとよばれ、ほめられもせず、くにもされず、そういうものにわたしはなりたい」)
  4. 同時多発テロ小泉改革は、人間の狭量化を加速させた。「あいまいなまま様子を見る」ゆとりが必要。すぐに白黒つけない。
  5. 老いを迎えた人たちが、若い人に多少の手間を取らせたり、迷惑をかけたりするのも当然のことなのではないだろうか。
  6. 個人的なマイナスの記憶は水に流せないのに、小泉改革のような権力のおかしたマイナスは直ぐに水に流してしまう。逆ではないだろうか。
  7. 好きなことを仕事にしていなくても自己嫌悪に陥ることはない。仕事をし続けるのは、それ自体でけっこう意味がある。
  8. 親子は距離が近くなり過ぎるのだから、なるべく離れてくらいが調度良い。おひとりさまも、いたかもしれないはずの子供に執着しないほうがいい。
  9. 百年に一度の経済危機は、「お金がいちばん大切」という考え方を見直すチャンスなのではないか。
  10. 「このために生まれた」確信が揺るがなかった人は2種類。新興宗教や悪徳ビジネスに洗脳された人と、ある種の精神病で強烈な妄想を持った人。「なぜ生まれたか」という問いには、あまり深く立ち入らないほうが身のためだ。「本当に答えが出ることはない、逆に、これだ、という答えが出たときは危険なのだ」ということは、頭の片隅にとどめながら悩むべきだ。
  11. 「運が良かったから成功できたけれど、失敗した可能性だってある」ということを認められるほうが、自分と人のためになる。ほどほど、そこそこ。
  12. ふつうにがんばって、しがみつかずにこだわらずに自分のペースで生きていければ、それなりの幸せを感じながら人生を送れる、それで十分、それ以外何が必要であろうか。

 最後に関しては、そういう社会にしていけるようにしたい、というか、していけるように政権を選択していくということもふくめて、納得。