遊風の養生日記Ⅱ

術伝流の愉癒庵遊風(颶風颯雷電)が、鍼灸操体食養はじめ養生について書いていきます

『日々是修行』

日々是修行 現代人のための仏教100話 (ちくま新書)

日々是修行 現代人のための仏教100話 (ちくま新書)

 朝日新聞木曜夕刊に連載されたものを追加訂正したもの。おもしろかったのは以下。

  1. 瞑想は自転車に似ている。同じ動作を何度も繰り返すうちに、一瞬だがスーッと走れる瞬間が訪れる。その、心浮き立つような瞬間をもう一度味わいたくて練習に一層熱が入る。すると、その「スーッと走れる」経験がごく自然に続くようになり、そして、走りたいときにいくらでも走れるようになる。瞑想も同じ。
  2. 修行には、個々人の適正に応じた個別の方法が必要だから、各人の精神状態を把握し、その人に最も適した方法を考え、段階を追って正しいアドバイスをする、すぐれた師が必要。
  3. この世には、超越的な絶対者などいない。すべて、原因と結果の間に成り立つ法則性で動いている。その法則性を知った上で、それを利用して自分の心を鍛錬していく、それが苦しみをなくす唯一の道
  4. 微生物のことも考えれば、殺生なしには生きられない。しかし、食べもしない魚を釣ったり、動物を娯楽のために殺したりするのはやめる。
  5. 互いに、合理精神と深い情愛によって支え合う。仏教のいう合理的というのは、怪しい神秘を人生の拠りどころにしないこと。
  6. 死に際の姿で人を判断するなかれ。人生の意味は、その人生の全体にある。
  7. 日本が創造性豊かな国になるには、俗世を捨て身一つ歩く巡礼者とそういう人を尊敬する人がいるインドのような懐の深さが必要である。「自分と違う考えの人には、自分にはない価値がある」という思いが大切なのである。
  8. 悟りに試験はないし、悟りの判定基準はない。自分が納得する以外にはない。
  9. 「私が死んだら、適宜、律の条文を変更せよ」とお釈迦様は言い残したが、具体的な変更方法を言わなかったため、律を変更不可能な法律にしてしまった。
  10. 「死んだら何も残らない」と考えて恐怖する人に、お釈迦様は「それでいい。それが最高の安楽だ」と言った。
  11. 仏教の基本:じっと一つのことを集中して徹底的に考え続ける
  12. 「脳の見せる世界は、本当の姿とは違う」ということを知っていると、思考の幅がぐっと広がる。
  13. 「自分の思い通りになる世界を引きずりながら生きよう」とすると、無理がかかり苦しみがおこってくる。
  14. 「世界の構造」を記述したアビダルマでは、「色(=この世の物質全般)は間違いなく実在している」と説く。いわゆる「色即是空」は、アビダルマに対抗して出て来た、大乗仏教の「空の思想」で用いられる言葉。
  15. 「自分のあり方を一番の生き甲斐にする」という考えは、仏道修行の基本。
  16. 慚愧:良い人を敬い、至らぬ自分を反省する(劣っているから、その分放漫にならないし、まだ向上できる)。劣等感:劣っているから価値がない。
  17. 仏教の十不善の中の4つは言葉に関するもの。嘘をつく、二枚舌を使う、荒々しい言葉をはく、理の通らないことを言う。
  18. 親分格の煩悩は、愚かさ、憎しみ、どん欲。
  19. 自分では気がつかなかった長所を、理にかなった言葉で見いだしてもらう時、人は一生涯続くほどの喜びを感じる。
  20. 「生きる術」を供給するのは、国などの仕事。「生き甲斐」が失われた時に、「こんな生き方もあります」と別の杖を出すのが、宗教の仕事。
  21. 仏教の信は、信頼の信。「釈迦の説いた道が、自分を向上させることに役立つ」ということを信頼するということ。
  22. 仏教は、人の心の全てに共通する基本的な自然法則があるとした。「煩悩を消すことで苦が消える」ということ。